サーファーズイヤーとは
外耳道に骨が増殖して狭くなる状態
サーファーズイヤーは、医学的には外耳道外骨腫と呼ばれる状態です。耳の入り口から鼓膜まで続く外耳道の骨の部分に隆起が生じ、時間をかけて耳の穴が狭くなっていきます。

「サーファーズイヤー」という名称から、単に耳へ水が入った状態を想像するかもしれません。しかし実際には、外耳道そのものに骨性の変化が生じている点が特徴です。
隆起が小さい段階では、自覚症状がほとんどないこともあります。一方、外耳道が狭くなると水や耳垢が外へ出にくくなり、耳のトラブルにつながる場合があります。
冷水や風への繰り返しの曝露との関係
サーファーズイヤーは、冷たい水や風に長期間、繰り返しさらされることとの関連が報告されています。サーファーを対象とした研究でも、サーフィンを続けてきた期間や寒い時期の活動などと、外耳道外骨腫との関係が報告されています。
そのため、サーフィンだけに起こる病気と考えるより、冷水環境でウォータースポーツを長く続ける人に起こり得る外耳道の変化として捉えるほうが適切です。
ただし、どの程度の曝露で発症するかを一律に決めることはできません。活動期間や環境など複数の要素が関係するため、「何年間続ければ必ず発症する」といった判断はできません。
サーファーズイヤーの症状
サーファーズイヤーでみられる主な症状
外耳道が狭くなると、耳の中に水や耳垢が残りやすくなります。その結果、耳が詰まったように感じる、水がなかなか抜けないと感じるといった症状が現れることがあります。
外耳道の状態によっては、外耳炎を繰り返したり、耳の痛みや耳漏が生じたりすることもあります。また、狭窄や耳垢の詰まりによって音が伝わりにくくなると、聞こえにくさを感じる場合があります。
一方、外骨腫があっても自覚症状がほとんどない人もいます。そのため、症状の強さだけで外耳道外骨腫の有無や程度を判断することはできません。
症状が続くときは耳鼻咽喉科で外耳道を確認する
サーフィン後に耳へ水が残る、耳が詰まる、耳が痛む、聞こえにくいといった症状は、サーファーズイヤーだけに起こるものではありません。
同じ症状を繰り返す場合や、不調が続く場合は、症状だけで自己判断せず耳鼻咽喉科で外耳道を確認してもらうことが重要です。サーフィンや冷水でのウォータースポーツを長く続けている人は、活動している環境や期間についても受診時に伝えると診察の参考になります。
耳栓などでサーファーズイヤーを予防する考え方
耳栓による冷水・冷気への曝露対策
サーファーズイヤーの予防では、外耳道が冷たい水や風にさらされる機会を減らすことが基本的な考え方です。その方法の一つとして耳栓があり、サーファーを対象とした観察研究でも、耳の保護と外耳道外骨腫の発生や重症度との関係が報告されています。
耳栓を使っても予防を保証できるわけではない
耳栓は、冷水や風への曝露を減らすための有力な対策の一つです。ただし、「耳栓を使えば必ずサーファーズイヤーを防げる」とまではいえません。
耳栓と外耳道外骨腫との関係を調べた研究には観察研究が含まれており、すべての条件で予防効果が確定しているわけではないためです。
サーフィンを続ける場合は、耳栓を完全な予防手段と考えるのではなく、冷水や風への曝露をできるだけ減らすための対策として位置付けることが大切です。
すでに生じた外骨腫の治療と耳栓による予防は分けて考える
耳栓の主な目的は、これから受ける冷水や風への曝露を減らすことです。すでに形成された骨性の隆起そのものを、耳栓を使用することで小さくすることはできません。外耳道外骨腫は不可逆的な骨性変化として扱われます。
そのため、サーファーズイヤーが疑われる場合は、「今後どのように耳を保護するか」と「すでにある外骨腫をどう評価するか」を分けて考える必要があります。
症状がある場合は、まず耳鼻咽喉科で外耳道の状態を確認し、そのうえで今後の耳の保護について検討します。
サーファーズイヤーの手術
手術を検討する主な条件
外耳道外骨腫が見つかったからといって、すべての人に手術が必要になるわけではありません。臨床レビューや国内報告でも、症状や狭窄による影響に応じて保存的な管理と手術を選択する考え方が示されています。
骨性の隆起が小さく、日常生活への影響がほとんどない場合には、状態を確認しながら経過を見ることがあります。一方、外耳道の狭窄によって水や耳垢がたまりやすい、外耳炎を繰り返す、聞こえに影響が出るなどの問題がある場合には、手術が選択肢となることがあります。
手術が必要かどうかは、外耳道の見た目だけでは決まりません。症状や狭窄による影響、耳の状態などを耳鼻咽喉科で確認し、個別に検討します。
手術方法と合併症リスク
サーファーズイヤーの手術では、外耳道を狭くしている骨性の隆起を除去し、外耳道を確保することが目的になります。手術方法にはそれぞれ特徴があり、メリットだけでなく合併症の可能性も含めて判断する必要があります。
鼓膜穿孔や感音難聴、術後狭窄などの合併症が報告されている
外耳道外骨腫の手術に関する研究では、鼓膜穿孔、感音難聴、術後の外耳道狭窄などの合併症が報告されています。
ただし、合併症の発生状況は手術方法や研究条件によって異なります。複数の研究をまとめた解析でも研究間に違いがあるため、報告された割合をそのまま一人ひとりの手術リスクとして当てはめることはできません。
手術を検討する場合は、自分の外耳道の状態、期待できる改善、考えられる合併症について、耳鼻咽喉科の担当医から説明を受けたうえで判断することが重要です。
まとめ
サーファーズイヤーは、冷たい水や風への長期的な曝露と関連する外耳道の骨性変化です。症状がないこともありますが、外耳道が狭くなると、水が残りやすい、耳が詰まる、外耳炎を繰り返す、聞こえにくいといった問題につながることがあります。
サーフィンなどを続ける場合は、耳栓などを使って冷水や風への曝露を減らすことを検討できます。ただし、耳栓は予防を保証するものではなく、すでに生じた外骨腫を治療するものでもありません。
耳の不調を繰り返す、耳の詰まりや聞こえにくさが続くといった場合は、自己判断を続けず耳鼻咽喉科で外耳道の状態を確認してください。手術についても、外骨腫があるという理由だけで決めるのではなく、症状や生活への影響、期待できるメリットとリスクを確認したうえで検討することが重要です。
参考出典
- 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「Web用語解説集:サーファーズイヤー」
- Vallée A. External auditory exostosis among surfers: a comprehensive and systematic review. Eur Arch Otorhinolaryngol. 2024;281(2):573-578.
- Lambert C, Marin S, Esvan M, Godey B. Impact of ear protection on occurrence of exostosis in surfers: an observational prospective study of 242 ears. Eur Arch Otorhinolaryngol. 2021;278(12):4775-4781.
- Swisher AR, Singh P, Debbaneh P, Rivero A. Complication Rates in Osteotome and Drill Techniques in External Auditory Canal Exostoses: A Systematic Review and Meta-Analysis. Ann Otol Rhinol Laryngol. 2023;132(10):1249-1260.
- 内田育恵、植田広海「サーファーズイヤー(外耳道外骨腫)の手術経験」頭頸部外科. 2017;27(1):11-16.
- Bart RM, et al. Surfer’s Ear. StatPearls, NCBI Bookshelf.
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※本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療に代わるものではありません。耳の症状にお心当たりがある場合は、自己判断せず耳鼻咽喉科を受診してください。
