風景写真をテーマとする「絵暦(えごよみ)フォトコンテスト」。
第3回 絵暦フォトコンテストに、たくさんのご応募をありがとうございました。
厳正な審査の結果、見事入賞を果たされた作品をここに発表します!
審査員
写真家 吉村和敏 様
1967年、長野県松本市生まれ。カナダ暮らしをきっかけに写真家としてデビュー。東京を拠点に世界各国、国内各地を巡る旅を続けながら、自ら決めたテーマを長い年月にわたって丹念に取材し、作品集として発表し続けている。
2003年カナダメディア賞大賞受賞。2015年東川賞特別作家賞受賞。
写真集に『プリンス・エドワード島』、『「スペインの最も美しい村」全踏破の旅』(講談社)、『BLUE MOMENT』(小学館)、『Du CANADA』(日経ナショナルジオグラフィック社)『RIVER』(信濃毎日新聞社)、『カルーセルエルドラド』(丸善出版)などがある。
総評(吉村和敏 様)
日本各地の美しい風景をはじめ、動物や鉄道を主題にした作品、海外の旅先で切り取られたスナップまで、実にバラエティに富んだ作品が集まり、一枚一枚を拝見するたびに心が弾みました。
第一次審査では、写真としての完成度やインパクト、そして作品そのものが放つ魅力を軸に選考を進めました。甲乙つけがたい作品が並び、どれを残すか判断に迷う時間が続きました。
その後は「一年を彩るカレンダー」という視点を加え、あらためて作品と向き合いました。「この作品は夏だからこそ映える」「この光には初冬の澄んだ空気が宿っている」。そんな情景を思い描きながら、12か月それぞれの季節感を作品に重ね合わせ、少しずつ候補を絞り込んでいきました。
最終審査では、候補作品をすべてプリントし、一枚一枚をじっくり見比べながら、スタッフと何度も議論を重ねました。そうして選び抜かれたのが、2027年版カレンダーを飾る12作品です。春夏秋冬の作品がバランスよく揃い、一年を通して四季の移ろいを感じられる仕上がりになったと思います。
今回、特に印象に残ったのは、雄大な風景の中に人や動物がさりげなく存在している作品が多かったことです。美しい景色の中にひとつの命が加わることで、その一枚に物語が生まれ、見る人の想像力を豊かにしてくれます。
そうした一期一会の瞬間は、その場所へ何度も足を運び、自然と真摯に向き合い、じっと待ち続けた人だけが出会える特別な贈り物なのかもしれません。一枚一枚の作品から、皆さんの情熱と粘り強い撮影姿勢が伝わってきました。
審査を終えて改めて感じたのは、日本という国の風景の豊かさと奥深さです。北海道から沖縄まで、それぞれの土地に異なる四季があり、文化が息づき、まだ広く知られていない美しい景色が数多く残されています。選考を進めながら、私自身も全国の風景を巡っているような気持ちになりました。
これからもぜひ旅を続け、その土地でしか出会えない感動の瞬間を写真に残してください。来年もまた、このフォトコンテストで皆さんの新たな一枚と出会えることを、心より楽しみにしております。
入賞作品発表
※これらの写真の無断掲載・加工を禁じます。
大賞

静かな朝
@ito_san
【講評】
日本人が育んできた文化と美しい自然。その両方が、一枚の作品の中に凝縮されています。中央に鳥居を据え、その背後に広がる海の水平線を三分割法で受け止めた構図も素晴らしいですね。長時間露光によって波を霧のように描き、現実と幻想が溶け合う世界を生み出した点も見事です。中でも心を惹かれるのが、鳥居の上にぽつんと佇む一羽の鳥。朝の光を見つめるその姿は、何かに想いを馳せているようにも見え、作品に小さな物語を添えています。清らかな光も美しく、新しい年の幕開けにふさわしい作品だと思いました。
準賞

幸せの鐘
春KOIZUMI
【講評】
イルミネーションを題材にした作品は数多く集まりましたが、中でも目を引いたのがこの作品です。一つの鐘に大胆にピントを合わせ、周囲の光を美しいボケへと散らすことで、鐘の存在感を際立たせています。クリスマスをイメージ的に表現したことで、この街で暮らす人々の心の内まで伝えることに成功しています。青を基調とした色彩表現も素晴らしく、鐘の金色がストレートに目に飛び込んできますね。澄んだ音色もどこからか響いてくるような気さえします。クリスマスの夜の空気感まで写し取った、印象深い作品です。
佳作

春の岬
【講評】
海沿いの小さな村が、鮮やかな菜の花に彩られています。青い海とのコントラストも美しく、民家の赤い屋根がいいアクセントになっていますね。何より、この作品の価値を高めているのが、花畑の中に佇む家族の姿です。子どもにカメラを向けているのでしょうか。風景写真でありながら、そこに人の営みと温かな時間が重なり、作品に奥行きが生まれました。近年、都会を離れて地方へ移り住む人が増えていますが、この一枚には、そんな生き方に惹かれる理由が隠れているようにも感じます。日本の本当の魅力は、こうした小さな村にあるのかもしれませんね。

雲海に浮かぶ朝
790Porter
【講評】
自然の中で過ごすキャンプが人気を集めています。この作品も、そんな場所で生まれた一枚なのでしょう。フィールドで過ごしたからこそ出会える、かけがえのない朝の光景ですね。風景の中に小さく立つ人物の存在も効いています。朝の光を全身で受け止め、目の前の絶景から何かを感じ取っているようです。その心の内を見る側に想像させることも、この作品の魅力と言えるでしょう。パノラマという難しい画角でありながら、コテージを右に、雲海を左に配した安定感のある構図も見事です。
名優賞

ハリギリの一本木と雲海
Keihiro
【講評】
一本の木には物語が宿ります。雪原に立つハリギリと、その背後に広がる雄大な風景。これほど絵になる場所を探し当てたことが、この作品の大きな強みになっていますね。孤高の木を主役にするには、まず木そのものに魅力が必要です。背後から差し込む光と流れる雲が加わり、その存在感をいっそう際立たせています。張りつめた真冬の朝でありながら、どこか不思議な温もりが漂っているところも印象的です。芽吹きを控えた植物には、厳しい冬を耐え、内に秘めてきた生命の力が宿ります。それが春への活力となっているような気がしました。

枝渡り
もりのすけ
【講評】
河津桜の枝に一羽のメジロが止まる、その何気ない瞬間を絶妙なタイミングで切り取っています。メジロを美しく浮かび上がらせる光の扱い方、一瞬の動きを逃さないシャッターチャンス、そして背景を柔らかくぼかした表現から、撮影者の確かな技量が随所に感じられますね。桜とメジロという組み合わせもよかったと思います。春という季節を的確に伝えているので、まさにカレンダーにぴったりの作品です。この一枚をじっと眺めていると、どこからかメジロの心地よい囀りが聞こえ、春を謳歌する喜びが伝わってくるようです。

赤いマルシェ
大我
【講評】
海外旅行で生み出された作品の応募も増えてきました。街角や村の広場に立つマルシェで出会った光景でしょうか。摘みたてのイチゴが並ぶ様子から、土地の恵みを身近に楽しむヨーロッパの暮らしと文化が垣間見えます。店主と客が交わす飾らない言葉、朝市のざわめき、行き交う人々の足音まで想像させてくれるのも、この作品の魅力ですね。異国の季節感や空気感、そして食文化まで的確に描き、写真を見る側をまるで旅をしているような気分にさせてくれる上質なスナップ作品だと思いました。

朝日照らす
こうし
【講評】
日本の美しい海岸線を、端正な構図と優しい斜光を生かして捉えた作品です。風景写真には、動物を点景として小さく置き、画面にアクセントを添える手法がありますが、この作品では、一頭の馬を大きく写し、あえて存在感を強調する大胆な手法を選んでいます。それでも不思議と風景の美しさが損なわれておらず、むしろ海岸の景色と馬が自然に溶け合い、一枚の絵画のような調和を生み出している。まさにプロフェッショナルの技を感じさせる作品に仕上がっていると思いました。どんな風景でも主題が大切であることを改めて教えてくれますね。

海に浮かぶ、静寂の祈り
あまね
【講評】
厳島神社は、象徴である大鳥居と社殿を、どう一つの画面に収めて撮るかが課題になってきます。この作品は、大鳥居をほぼ中央に据えることで、揺るぎない骨格をつくり、安定感を生み出しました。水辺に小さく写り込んだ観光客も、背後に見える現代の建物も、効果的に生かされています。この上質な作品を目にすると、多くの日本人は「もう一度あの景色に会いに行きたい」と思い、海外の人は「日本の歴史と文化に触れてみたい」という気持ちを呼び起こすのではないでしょうか。そんな魅力を秘めた作品になっています。

ひまわりの里
赤目の旦那
【講評】
大地を覆い尽くすように広がる圧巻のヒマワリ畑です。難しいパノラマの画角でありながら、中央に森を置くことで、花畑と青空をほどよく二分し、一枚の風景作品としてまとめています。無数のヒマワリが、そろって同じ方向を向く姿も印象的です。まるで大勢の観客が一つのステージを見つめ、コンサートに酔いしれているようですね。鮮やかな黄色と抜けるような青空から、強い夏の日差しが感じられます。見る人の心を明るくしてくれる、生命力に満ちた作品だと思いました。

夕焼け色の海岸
ぽせいどん
【講評】
太陽が沈み、鮮やかな夕焼けに世界が包まれる、一日の中でもっとも美しく輝く瞬間を巧みに捉えていますね。潮が引いて現れた遠浅の海岸にはシャドー部分が多いのですが、所々にある水辺がオレンジ色に染まっているため、重い感じは受けません。三分割法を生かした構図も素晴らしいと思います。この作品の中で効果的な役割を果たしているのが、右端にわずかにのぞく桟橋の明かりです。人の暮らしの気配が加わることで、この場所に立ってみたいと思わせる旅情が生まれました。静かな夕景の中に、自然と人の営みが溶け合う、素晴らしい作品です。

黄金回廊
donopoko
【講評】
開発が進み、大きく表情を変えつつある東京駅周辺を捉えた一枚です。近代的な高層ビルが林立する中で主役を担うのは、歴史の趣をたたえた駅舎と、鮮やかなイチョウ並木。広角レンズによって、駅舎から並木、そしてその周りに広がる都市空間を、一つの画面に見事に収めることに成功しました。夜景の描写はもちろん、横長の画面を生かした構図にも、撮影者の確かな技量が感じられますね。移りゆく東京の中に息づく、変わらない美しさ。見慣れたはずの都会の風景にも、まだ気づいていない一面があることを、この作品はそっと教えてくれます。
※入賞された方へは、弊社より個別にメールにてご連絡差し上げます。
第3回絵暦フォトコンテスト 表彰式のご案内
2026年10月24日(土)に開催いたしました。
ご参加くださった皆さま、ありがとうございました。
第8回ホスピ川柳 入選作品発表 も公開中!
詳しくは こちら