JOURNAL

再生処理の知識

【検証試験】ジェットウォッシャー超音波洗浄装置の適切なインジケータの選択について

ジェットウォッシャー超音波洗浄装置

ジェットウォッシャーと超音波洗浄を一台で実現する、ジェットウォッシャー超音波洗浄装置。

 

「どうやって洗浄評価をしたらいいのか?」

「WD用の洗浄インジケータでモニタリングできるのか?」

「超音波洗浄をどうやってモニタリングしたらよいのか?」

 

そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

 

本記事では、ジェットウォッシャー超音波洗浄装置の適切なインジケータの選択について、実際の検証結果をもとに解説していきます。

 

更新日:2024年7月19日
公開日:2023年8月2日

1. ジェットウォッシャー超音波洗浄装置とは

1-1. ジェットウォッシャー+超音波の「W洗浄」

 

ジェットウォッシャー+超音波

SHARP

ジェットウォッシャー超音波洗浄装置は、WD(ウォッシャー・ディスインフェクター)のような回転アームによるジェットウォッシャーと、超音波洗浄を組み合わせた洗浄装置です。

 

1-2. 本洗浄工程後に超音波洗浄を実施する

ジェットウォッシャー超音波洗浄装置の一般的な洗浄プログラムは以下の通りです。

本洗浄(ジェットウォッシャー)工程後に、洗浄装置内に水を貯め、超音波洗浄を実施します。超音波洗浄の水位は、高・中・低など、高さを設定できるのが一般的です。

工程 温度 時間
①予備洗浄 20℃ 3分
②本洗浄(ジェットウォッシャー) 50℃ 8分
③超音波洗浄 45℃ 7分
④すすぎ (2回) 1分
⑤高温除染 90℃ 5分
⑥潤滑防錆剤 60℃ 1分
⑦乾燥 130℃ 30分

 

1-3. SHARPのMU-7500シリーズやMIURAのRAシリーズなどがある

いくつかのメーカーが、ジェットウォッシャー超音波洗浄装置を販売しています。代表的なものに、SHARPのMU-7500シリーズや、MIURAのRAシリーズなどがあります。

SHARP MU-7500シリーズ

SHARP MU-7500シリーズ

 

MIURA RAシリーズ

MIURA RAシリーズ

 

2. 検証試験の概要

2-1. 検証の目的

今回の試験の目的は「超音波の有無で選択すべきインジケータが異なるのか?」を検証することです。

ジェットウォッシャー超音波洗浄装置では、プログラムによって、超音波が当たる段(バスケット)と当たらない段が存在します。超音波の有無によって総合的な洗浄力は異なるため、選択すべきインジケータも異なるのではないかという仮説のもと、検証を実施しました。

 

2-2. 検証試験の概要

検証試験の概要は、以下の通りです。

項目 内容
洗浄器 SHARP MU-7500シリーズ
洗剤 中性酵素洗剤(純正品)
洗浄工程 ①予備洗浄(20℃/3分)
②本洗浄(50℃/8分)
③超音波洗浄(45℃/7分)
④すすぎ(2回/1分)
⑤高温除染(90℃/5分)
⑥潤滑防錆剤(60℃/1分)
⑦乾燥(130℃/30分)
超音波洗浄の水位 下から2段目まで
インジケータ SALWAY 洗浄工程インジケータ(青、紫、赤)

 

2-3. インジケータの設置場所

超音波の有無によるインジケータの色落ちを比較するために、超音波が当たらない4段目のバスケットと、超音波が当たる2段目のバスケットにインジケータを設置しました。

また、バスケットの内側・外側でジェットウォッシャーや超音波の当たり方は異なります。4段目・2段目ともに、バスケットの内側・外側の2か所にインジケータを設置し、色落ち結果を比較しました。

 

インジケータの設置場所

 

3. 試験結果

洗浄終了後のインジケータの色落ちは以下の通りでした。パートに分けて解説していきます。

 

インジケータの色落ち結果

インジケータの色落ち結果

 

3-1. 4段目(超音波なし)の色落ち結果

超音波が当たらない4段目のバスケットに設置した、インジケータの色落ち結果です。

 

4段目(超音波なし)のインジケータの色落ち

4段目(超音波なし)のインジケータ色落ち結果

青のインジケータは、内側・外側ともに色落ちしています。一方の紫と赤のインジケータは、外側よりも内側の方が比較的色落ちしていることがわかります。これは、内側の方がジェットウォッシャーの水流が当たりやすいためです。

超音波が当たらない段においては、今回の場合、「青」のインジケータでモニタリングするのが適切です。

 

3-2. 2段目(超音波あり)の色落ち結果

超音波が当たる2段目のバスケットに設置した、インジケータの色落ち結果です。

 

2段目(超音波あり)のインジケータの色落ち

2段目(超音波あり)のインジケータ色落ち結果

青のインジケータは、内側・外側ともに色落ちしています。一方の紫と赤のインジケータは、外側よりも内側の方が大きく色落ちしていることがわかります。

これは、内側の方がジェットウォッシャーや超音波が当たりやすいことを示しています。

 

3-3. 超音波の有無によるインジケータ色落ち結果の違い

続いて、4段目(超音波なし)と2段目(超音波あり)の内側に設置したインジケータの色落ちを比較してみます。

 

超音波の有無によるインジケータの色落ちの違い

超音波あり・なしのインジケータ色落ち結果の比較

青のインジケータの色落ちは、4段目も2段目も同じ結果となりました。一方で、超音波が当たる2段目の方が、紫と赤のインジケータが大きく色落ちしていることがわかります。特に、赤のインジケータについては、超音波が当たらない4段目ではほとんど色落ちしておらず、色落ちに大きな差があることがわかります。

超音波が当たる2段目を、青のインジケータでモニタリングをした場合。超音波なしの4段目でも青色が色落ちしているという結果から、仮に何かの不具合があり2段目に超音波が当たらなかったとしても、色落ちしてしまうことが想定されます。

一方で、赤のインジケータで2段目をモニタリングした場合。超音波が適切に当たっていなかった場合には、赤のインジケータは色落ちしないため、不具合を検知することができます。

つまり、超音波が当たる段においては、今回の場合、「赤」のインジケータでモニタリングするのが適切です。

 

3-4. 日常モニタリングの例

今回検証を実施した洗浄器・プログラムにおいては、超音波が当たらない段に「青」のインジケータ、当たる段に「赤」のインジケータを設置することが最適という結果になりました。

 

洗浄工程インジケータの設置例

日常モニタリングの例

 

超音波の有無に合わせて、適切なインジケータを選択することで、ジェットウォッシャーだけでなく超音波に関連する不具合も検知することができます。

 

カラーチャートの例

カラーチャートの例

 

3-5. まとめ

今回の検証試験のまとめです。

・バスケットの外側よりも内側の方が、ジェットウォッシャーの水流や超音波が当たりやすいため、インジケータの色落ちが大きくなった。
・バスケットの内側に設置したインジケータでも、超音波が当たる段と当たらない段では、インジケータの色落ちは大きく異なった。
・ジェットウォッシャー超音波洗浄装置においては、超音波の有無によって洗浄力が異なるため、超音波が当たる段と当たらない段とで選択すべきインジケータが異なる場合がある。

 

 

いかがでしたでしょうか。

ジェットウォッシャー超音波洗浄装置向けのインジケータに関するお問合せや各種ご依頼(お見積り/サンプルなど)は、営業担当またはSALWAYウェブサイトのお問合せフォームよりご連絡下さい。

SALWAY 洗浄工程インジケータ

 

 

この記事をダウンロード