目次
1. ジェットウォッシャー超音波洗浄装置とは
1-1. ジェットウォッシャー+超音波の「W洗浄」
ジェットウォッシャー超音波洗浄装置は、WD(ウォッシャー・ディスインフェクター)のような回転アームによるジェットウォッシャーと、超音波洗浄を組み合わせた洗浄装置です。
1-2. 本洗浄工程後に超音波洗浄を実施する
ジェットウォッシャー超音波洗浄装置の一般的な洗浄プログラムは以下の通りです。
本洗浄(ジェットウォッシャー)工程後に、洗浄装置内に水を貯め、超音波洗浄を実施します。超音波洗浄の水位は、高・中・低など、高さを設定できるのが一般的です。
工程 | 温度 | 時間 |
①予備洗浄 | 20℃ | 3分 |
②本洗浄(ジェットウォッシャー) | 50℃ | 8分 |
③超音波洗浄 | 45℃ | 7分 |
④すすぎ | (2回) | 1分 |
⑤高温除染 | 90℃ | 5分 |
⑥潤滑防錆剤 | 60℃ | 1分 |
⑦乾燥 | 130℃ | 30分 |
1-3. SHARPのMU-7500シリーズやMIURAのRAシリーズなどがある
いくつかのメーカーが、ジェットウォッシャー超音波洗浄装置を販売しています。代表的なものに、SHARPのMU-7500シリーズや、MIURAのRAシリーズなどがあります。
SHARP MU-7500シリーズ
MIURA RAシリーズ
2. 検証試験の概要
2-1. 検証の目的
今回の試験の目的は「超音波の有無で選択すべきインジケータが異なるのか?」を検証することです。
ジェットウォッシャー超音波洗浄装置では、プログラムによって、超音波が当たる段(バスケット)と当たらない段が存在します。超音波の有無によって総合的な洗浄力は異なるため、選択すべきインジケータも異なるのではないかという仮説のもと、検証を実施しました。
2-2. 検証試験の概要
検証試験の概要は、以下の通りです。
項目 | 内容 |
洗浄器 | SHARP MU-7500シリーズ |
洗剤 | 中性酵素洗剤(純正品) |
洗浄工程 | ①予備洗浄(20℃/3分) ②本洗浄(50℃/8分) ③超音波洗浄(45℃/7分) ④すすぎ(2回/1分) ⑤高温除染(90℃/5分) ⑥潤滑防錆剤(60℃/1分) ⑦乾燥(130℃/30分) |
超音波洗浄の水位 | 下から2段目まで |
インジケータ | SALWAY 洗浄工程インジケータ(青、紫、赤) |
2-3. インジケータの設置場所
超音波の有無によるインジケータの色落ちを比較するために、超音波が当たらない4段目のバスケットと、超音波が当たる2段目のバスケットにインジケータを設置しました。
また、バスケットの内側・外側でジェットウォッシャーや超音波の当たり方は異なります。4段目・2段目ともに、バスケットの内側・外側の2か所にインジケータを設置し、色落ち結果を比較しました。
インジケータの設置場所
3. 試験結果
洗浄終了後のインジケータの色落ちは以下の通りでした。パートに分けて解説していきます。
インジケータの色落ち結果
3-1. 4段目(超音波なし)の色落ち結果
超音波が当たらない4段目のバスケットに設置した、インジケータの色落ち結果です。
4段目(超音波なし)のインジケータの色落ち
青のインジケータは、内側・外側ともに色落ちしています。一方の紫と赤のインジケータは、外側よりも内側の方が比較的色落ちしていることがわかります。これは、内側の方がジェットウォッシャーの水流が当たりやすいためです。
超音波が当たらない段においては、今回の場合、「青」のインジケータでモニタリングするのが適切です。
3-2. 2段目(超音波あり)の色落ち結果
超音波が当たる2段目のバスケットに設置した、インジケータの色落ち結果です。
2段目(超音波あり)のインジケータの色落ち
青のインジケータは、内側・外側ともに色落ちしています。一方の紫と赤のインジケータは、外側よりも内側の方が大きく色落ちしていることがわかります。
これは、内側の方がジェットウォッシャーや超音波が当たりやすいことを示しています。
3-3. 超音波の有無によるインジケータ色落ち結果の違い
続いて、4段目(超音波なし)と2段目(超音波あり)の内側に設置したインジケータの色落ちを比較してみます。
超音波の有無によるインジケータの色落ちの違い
青のインジケータの色落ちは、4段目も2段目も同じ結果となりました。一方で、超音波が当たる2段目の方が、紫と赤のインジケータが大きく色落ちしていることがわかります。特に、赤のインジケータについては、超音波が当たらない4段目ではほとんど色落ちしておらず、色落ちに大きな差があることがわかります。
超音波が当たる2段目を、青のインジケータでモニタリングをした場合。超音波なしの4段目でも青色が色落ちしているという結果から、仮に何かの不具合があり2段目に超音波が当たらなかったとしても、色落ちしてしまうことが想定されます。
一方で、赤のインジケータで2段目をモニタリングした場合。超音波が適切に当たっていなかった場合には、赤のインジケータは色落ちしないため、不具合を検知することができます。
つまり、超音波が当たる段においては、今回の場合、「赤」のインジケータでモニタリングするのが適切です。
3-4. 日常モニタリングの例
今回検証を実施した洗浄器・プログラムにおいては、超音波が当たらない段に「青」のインジケータ、当たる段に「赤」のインジケータを設置することが最適という結果になりました。
洗浄工程インジケータの設置例
超音波の有無に合わせて、適切なインジケータを選択することで、ジェットウォッシャーだけでなく超音波に関連する不具合も検知することができます。
カラーチャートの例
3-5. まとめ
今回の検証試験のまとめです。
・バスケットの外側よりも内側の方が、ジェットウォッシャーの水流や超音波が当たりやすいため、インジケータの色落ちが大きくなった。
・バスケットの内側に設置したインジケータでも、超音波が当たる段と当たらない段では、インジケータの色落ちは大きく異なった。
・ジェットウォッシャー超音波洗浄装置においては、超音波の有無によって洗浄力が異なるため、超音波が当たる段と当たらない段とで選択すべきインジケータが異なる場合がある。
いかがでしたでしょうか。
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