麻酔マスクとは?サイズやリユース・ディスポの違い、選定のポイントを解説します。

麻酔マスクとは?サイズやリユース・ディスポの違い、選定のポイントを解説します。

麻酔マスクは、麻酔や呼吸管理の場面で患者の鼻や口を覆い、麻酔ガスなどを供給するために用いられる医療機器です。見た目が似ていても、サイズ体系、単回使用か再使用可能か、コネクタや周辺機器との適合条件は製品によって異なります。

この記事では、麻酔マスクの基本的な役割から、サイズの選び方、リユースとディスポーザブルの違い、選定のポイントまで整理します。

公開日:2026年9月11日

麻酔マスクとは

「麻酔用マスク」は上気道へ麻酔ガスを供給する医療機器

医療機器の一般的名称では、「麻酔用マスク」は上気道に麻酔ガスを供給するため、患者の鼻または口に設置するゴムやプラスチックなどの材料で作られた柔軟な器具として位置付けられています。管理医療機器(クラスⅡ)に指定されています。

麻酔器や呼吸回路との接続、患者の顔へのフィット、製品ごとの使用条件まで含めて確認する必要があります。

 

英語では anaesthetic face mask / anesthesia mask などと表現する

麻酔マスクは英語で、anaesthetic face maskanesthesia face maskanesthetic mask などの表記が使われます。

英国系の資料では anaesthetic、米国系の資料では anesthesiaanesthetic が使われることがあり、検索先によって表記が異なります。

海外メーカーの製品情報や文献を探す場合は、これらを組み合わせて検索すると関連資料を見つけやすくなります。

 

手術中に麻酔マスクが使われる場面

手術室で麻酔をしている様子

手術中に麻酔マスクが使用される場面は、主に3つです。

  • 全身麻酔の導入と維持
  • 酸素化と挿管
  • 術後覚醒

麻酔マスクを用いた換気は、麻酔時の酸素化や換気を行う基本的な気道管理手段の一つです。麻酔導入時の酸素投与や、必要に応じたマスク換気などで使用されます。

このとき重要なのが、患者の顔に合ったマスクを選び、適切なシールを確保することです。マスクの大きさや形状が合わないと、空気漏れなどによって十分な換気を行いにくくなる可能性があります。

 

麻酔マスクのサイズはどう選ぶか

サイズ番号と製品ごとの体系

市販の麻酔マスクには、新生児向けから成人向けまで複数のサイズがあります。ただし、サイズ番号の体系がメーカー横断で統一されているとは限りません。

 

0〜6や1〜6など体系が異なるため番号だけで互換視しない

麻酔マスクのサイズ番号は、メーカー/製品シリーズによってサイズ0〜6、サイズ1〜6など構成が異なる場合があるので注意が必要です。

このため、「4番」「5番」といった番号だけを見て、別メーカーの製品も同じ大きさだと判断することはできません。

確認事項 製品によって異なる例 選定時の考え方
サイズ番号 0〜6、1〜6など 番号だけで比較しない
対象 新生児、小児、成人など メーカーのサイズ表を確認する
マスク形状 エッグ型、ラウンド型など 患者へのフィットも確認する
接続部 15mm、22mmなど 呼吸回路との適合を確認する

 

同じ番号でも、寸法や対象が同じとは限りません。採用する製品のサイズ表や添付文書を基準に確認します。麻酔マスクを選ぶときは、「成人なら〇番」といった番号だけで判断しないことが重要です。

製品シリーズによる違いの例(名優の麻酔用マスク)

# 対象 フレックスシリーズ カラーシリーズ レギュラーシリーズ
0 新生児 56mm × 50mm
1 新生児 67mm × 59mm 64mm × 55mm 60mm × 56mm
2 乳児 77mm × 67mm 79mm × 67mm 70mm × 65mm
3 幼児 97mm × 77mm 96mm × 79mm 83mm × 73mm
4 小児 118mm × 94mm 113mm × 91mm 100mm × 87mm
5 成人 130mm × 105mm 130mm × 105mm 115mm × 105mm
6 成人 144mm × 113mm 138mm × 112mm 125mm × 105mm

 

 

カラーと製品ごとの体系

現在、麻酔マスクのフックリングのカラーリングでサイズ分けされている製品が多く導入されています。

4840VS

 

カラーリング体系が異なるため色だけで互換視しない

サイズ番号と同様、カラーリングの体系がメーカー横断で統一されているとは限らないので、注意が必要です。色だけを見て、別メーカーの製品も同じ大きさだと判断することはできません。

メーカーによるカラーリングの違いの例

# 名優(カラーシリーズ) A社
1
2
3
4
5
6
7

 

 

患者へのフィットと密閉性

サイズ選択では、対象や番号だけでなく、患者の顔に適切にフィットするかを見る必要があります。

 

鼻・口を適切に覆い、過度な圧迫なしにシールできるサイズを選ぶ

マスク換気では、マスクと顔の間に適切なシールを確保することが重要です。サイズや形状が合っていない場合は、空気漏れの原因になる可能性があります。

患者の鼻と口を適切に覆えるか、不必要に大きすぎたり小さすぎたりしないかを確認します。

 

リユースとディスポの違い

麻酔マスクには、単回使用を前提とするディスポーザブル製品と、メーカーが指定する再処理を行ったうえで再使用できるリユーザブル製品があります。

再使用の可否を見た目や材質だけで判断することはできません。製品表示、添付文書で使用区分を確認します。

 

ディスポーザブル麻酔マスク

麻酔マスクの中には、添付文書に「再使用禁止」と記載されている製品があります。これらは、単回使用のディスポーザブル麻酔マスクです。

 

再使用禁止製品は洗浄・滅菌して再使用しない

これらの製品は、「十分に洗浄した」「滅菌した」といった理由で再使用することはできません。有毒なガスが生じたり呼気抵抗が危険なレベルにまで増加したりする可能性があります。

単回使用として設計された製品は、製造販売業者が定めた使用方法に従います。使用後の処理についても、製品の指示と施設の感染管理・廃棄手順を確認してください。

 

リユース麻酔マスク

一方、メーカーが再使用を前提として設計している麻酔マスクもあります。ただし、リユース製品であっても、自由な方法で洗浄・消毒・滅菌できるわけではありません。

 

再処理条件と再使用回数は添付文書に従う

再使用可能な麻酔マスクでは、洗浄、滅菌などの再生処理条件が製品ごとに定められています。メーカーによっては、再処理可能回数について情報を示している場合もあります。

ある製品で認められている方法や回数を、別メーカーや別製品へそのまま適用することはできません。対象製品の添付文書で、使用できる再処理方法、条件、使用回数、点検事項を確認することが必要です。

 

麻酔マスクを選定するポイント

市場にはたくさんの麻酔マスクが存在します。ここでは、麻酔マスクを選定する際のいくつかのポイントを整理します。

 

①形状

麻酔マスクには、エッグ型とラウンド型の2種類の形状があります。「どちらが優れている」というより、患者の顔面形状へのフィットと、術者がどのように保持したいかで選ぶと整理しやすいです。

エッグ型は、鼻側から口元にかけての顔のラインに馴染みやすく、密着性に優れています。ラウンド型は、トラディショナルなモデルで、ハードプレートを採用しており安定感を重視する場合に好まれます。

エッグ型・ラウンド型

さらに、マスク本体を持ちやすくするサムレストや滑り止め形状も確認ポイントです。マスク換気ではシールを維持しながら保持する必要があるため、単に患者の顔に合うかだけでなく、麻酔科医の使用感も確認するのがよいでしょう。

 

サムレスト形状を持つ「麻酔用マスクフレックスシリーズ(製品番号:68XX)」

 

②クッション機能

麻酔マスクのクッションは、空気量を変えられるエアークッション方式と、空気を入れない非膨張式シール方式の2種類があります。

エアークッションのメリットは、患者ごとにクッションの張りを調整できることです。シリンジなどでエアを調整することで、顔面への当たり方を見ながら調節できることが、この方式の特徴です。

また最近では、エアクッションを使用せず、硬さの異なる素材を組み合わせた解剖学的形状とソフトシールで密着させる非膨張式シール方式のマスクもあります。

 

③低死腔モデル

麻酔マスクでは、マスク内部の容積も選択軸になります。内部容積が大きいほど、呼気が残る空間=装置死腔が増えるため、換気量に対して死腔の影響を小さくしたいケースでは、低死腔モデルも選択肢になります。

 

麻酔用マスク レギュラー 5 低死腔 バルブ付(製品番号:5245)

 

④コストパフォーマンス

麻酔マスクは、頻繁に使用する消耗品であるため、コストパフォーマンスも重要です。

ディスポタイプとリユースタイプのコストを比較する際は、リユースタイプは麻酔マスク本体の価格のみでなく、洗浄や包装、滅菌にかかる人件費や材料費も加味する必要があります。

 

まとめ

麻酔マスクは、麻酔や呼吸管理の場面で患者の鼻や口を覆い、麻酔ガスなどを供給するために使用される医療機器です。選定する際は、サイズ番号だけで判断せず、患者の顔へのフィットや密閉性、マスクの形状、クッション機能などを確認することが重要です。

また、麻酔マスクにはディスポーザブル製品とリユーザブル製品があり、再使用の可否や再処理条件は製品ごとに異なります。見た目や材質だけで判断せず、添付文書に記載された使用方法・再処理条件を確認してください。

導入時には、製品本体の価格だけでなく、リユース製品であれば洗浄・包装・滅菌にかかる人件費や材料費も含めて検討する必要があります。患者への適合性と術者の使いやすさ、施設での運用方法まで含め、自施設に合った麻酔マスクを選定しましょう。

 

参考出典

 

関連製品|麻酔用マスク

1981年に発売以降、Vital Signs™ブランドの代表的な製品として世界100ヵ国以上の販売実績を誇り、国内外で高い評価を受けるディスポーザブル麻酔用マスクシリーズです。

販売名:麻酔用マスク(VS)
区分:管理医療機器
認証番号:224ABBZX00169000
製造販売業者:株式会社名優
製品ページ:https://meilleur.co.jp/product/anesthesia-mask/

よくある質問

麻酔マスクとは何ですか?

手術における麻酔や呼吸管理の場面で患者の鼻や口を覆い、麻酔ガスなどを供給するために用いられる医療機器です。

麻酔マスクのサイズ番号はメーカーが違っても共通ですか?

共通とは限りません。0〜6、1〜6などメーカーや製品シリーズによって体系が異なるため、それぞれのサイズ表や添付文書を確認します。

麻酔マスクのフックリングのカラーリングは、メーカーが違っても同じですか?

共通とは限りません。メーカーによって体系が異なるため、それぞれのサイズ表や添付文書を確認します。

成人なら何番の麻酔マスクを選べばよいですか?

「成人なら○番」とは一般化できません。患者の顔貌と製品ごとのサイズ表を確認し、鼻・口を適切に覆ってシールできるサイズを選びます。

ディスポーザブルの麻酔マスクを滅菌すれば再使用できますか?

再使用禁止とされている製品は、洗浄・滅菌したことを理由に再使用することはできません。有毒なガスが生じたり呼気抵抗が危険なレベルにまで増加したりする可能性があります。