1. SALWAYの超音波洗浄工程インジケータ
1-1. 最適なインジケータを4種から「選択」する
超音波洗浄は、超音波振動子が発する超音波が器材の表面でキャビテーションを起こすことで洗浄効果を示す洗浄方法です。
超音波洗浄の洗浄力は、超音波・洗剤・温度・時間の掛け合わせで構成されます。そのため、洗浄器や使用する洗剤によって、洗浄力は異なります。
SALWAYのインジケータは、それぞれの洗浄器やプログラムの洗浄力に最も近いインジケータを、4種から選択します。本来発揮すべき洗浄力に近いインジケータを使用することで、わずかな不具合を検知することができます。
1-2. 超音波のみでなく洗剤関連の不具合も検知する
超音波洗浄のモニタリングとして、アルミホイルやガラスビーズなどを洗浄器内に設置し、洗浄後に穿孔やシワの分布、ガラスビーズの入った液体の変色を観察する方法があります。このタイプは、キャビテーションエネルギーの検出(超音波)を確認するものであって、洗剤の有無については確認することができません。
SALWAYの超音波洗浄工程インジケータは、超音波の有無はもちろん、「洗剤の有無」にも反応するため、洗剤関連の不具合も検知することができます。
2. 検証試験の概要
2-1. 超音波洗浄器は卓上型を使用
今回の検証試験では、卓上型の超音波洗浄器を使用して実施しました。
2-2. 酵素洗剤、弱アルカリ洗剤の2種類を検証
洗剤は酵素洗剤、弱アルカリ洗剤の2種類を使用し、それぞれ超音波・洗剤の有無によって条件を変え、3回ずつ試験を実施しました。
2-3. 合格試験1回、不合格試験2回を実施
試験は以下の内容で合計3回の試験を行います。
項目 |
① 合格試験(全て正常) |
② 不合格試験(超音波なし) | ③ 不合格試験(洗剤なし) |
超音波 | 〇 正常 | × なし | 〇 正常 |
洗剤 |
〇 酵素洗剤 / 弱アルカリ洗剤 |
〇 酵素洗剤 / 弱アルカリ洗剤 | × なし |
洗剤濃度 | 1% | 1% | – |
温度 |
酵素洗剤 40℃ |
酵素洗剤 40℃ |
酵素洗剤 40℃ |
時間 | 15分 | 15分 | 15分 |
2-3-1. ①合格試験
洗浄工程が全て正常に実施された場合に、インジケータがどのように色落ちするか検証します。
超音波によるキャビテーション、洗剤による洗浄、温度、時間、全て適切に行われた場合を想定した試験です。
2-3-2. ②不合格試験(超音波なし)
超音波によるキャビテーションに不具合が発生した場合のインジケータの色落ちを検証します。
洗剤、温度、時間は適正に行われたが、超音波振動子の故障などにより超音波によるキャビテーションが適切に行われなかった場合を想定した試験です。キャビテーションを発生させずに、洗浄工程を実施しました。
2-3-3. ③不合格試験(洗剤なし)
洗剤の投入量などに不具合が発生した場合のインジケータの色落ちを検証します。
キャビテーション、温度、時間は適正に行われたが、洗剤の入れ忘れなどにより洗剤による洗浄効果が適切にえられなかった場合を想定した試験です。
3. 酵素洗剤プログラムの色落ち結果
3-1. 合格試験の結果
合格試験では、黄色と緑のインジケータがほぼ完全に色落ちし、青のインジケータには超音波特有の干渉縞が確認できました。赤のインジケータは全く色落ちしませんでした。
3-2. 不合格試験(超音波なし)の結果
合格試験で超音波洗浄特有の干渉縞を示した青色のインジケータを見ると、この試験では干渉縞がないことがわかります。インジケータを使用することで、超音波によるキャビテーション関連の不具合を検知できることが確認できました。
3-3. 不合格試験(洗剤なし)の結果
合格試験の色落ちと比較して、黄色以外のインジケータが全く色落ちしていないことがわかります。インジケータの使用により、洗剤関連の不具合を検知できることが確認できました。
3-4. この酵素洗剤プログラムで使用すべきインジケータ
最適なインジケータを選定する際は、合格試験と不合格試験の結果に差があり、2つの不合格試験で異なる結果を示したものを選びます。
この試験結果の場合、青色のインジケータでモニタリングすると、超音波と洗剤どちらの不具合も検知でき、不具合の原因がどちらにあるかも判定することができます。
4. 弱アルカリ洗剤プログラムの色落ち結果
4-1. 合格試験の結果
弱アルカリ洗剤を使用した合格試験では、黄・緑のインジケータが完全に、青のインジケータはほぼ完全に色落ちしました。赤のインジケータは超音波特有の干渉縞が見られ、40%程度色残りしました。
4-2. 不合格試験(超音波なし)の結果
黄のインジケータが完全に、緑のインジケータがほぼ完全に色落ちしました。青のインジケータは全体に色落ちして薄くなり、赤のインジケータは色落ちしませんでした。全てのインジケータで超音波洗浄特有の干渉縞は見られませんでした。
4-3. 不合格試験(洗剤なし)の結果
合格試験の色落ちと比較して、黄色以外のインジケータが全く色落ちしていないことがわかります。
4-4. この弱アルカリ洗剤プログラムで使用すべきインジケータ
青色のインジケータでモニタリングした場合に、超音波と洗剤どちらの不具合も検知できることが確認できました。
インジケータが全体的に色残りした場合は超音波関連の不具合を、インジケータが全く色落ちしなかった場合は洗剤関連の不具合を疑うことができます。
ちなみに、弱アルカリ洗剤プログラムを赤色のインジケータでモニタリングした場合は以下のようになります。
超音波関連・洗剤関連の不具合をどちらも検知することができますが、不合格時の色落ちが同じなので、インジケータが全く色落ちしなかった場合にどちらの不具合なのか判断できません。
このように、合格の基準を何色に設定するかによって、インジケータから読み取れる情報が変わります。
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