1. イベントの概要
東京科学大学病院の材料部は、手術や治療で使用した医療器材を、洗浄や消毒、滅菌によって「キレイで安全」な状態に生まれ変わらせる部署です。一般には「中央材料室」「サプライセンター」などとも呼ばれ、患者さんに安全な器材を提供できるように病院を支える、“かくれたヒーロー”ともいえる存在です。

本イベントは材料部の仕事を子どもたちに楽しく知ってもらうことを目的に、東京科学大学病院 材料部とSALWAYが共同で企画・運営しました。普段目にすることができない材料部の中に入って、大きな洗浄器や滅菌器、器材を運ぶロボットなどを見学できる貴重な機会となりました。
対象は小学4〜6年生のお子様で、午前の部・午後の部の2部制(各回定員10名、計20名)で実施しました。参加者の中には、将来医師や看護師を目指しているお子様もいらっしゃいました。
2. 当日の様子
イベントは、授業・見学・体験の3つのプログラムで構成しました。
2-1. 医療器材の再生処理に関するミニ授業
はじめに、材料部の仕事について、スライドを使ったミニ授業「病院の道具をピカピカにする魔法 ~再生処理と滅菌のひみつ~」を行いました。手術で使うハサミやピンセットのように繰り返し使う道具と、注射針や手袋のように使い捨てにする道具があることや、目に見えない「バイキン(細菌やウイルス)」から患者さんに使う道具を守るための仕組みを、クイズをまじえながらわかりやすく紹介しました。

続いて、道具をピカピカにする「3つのステップ」として、目に見える汚れを落とす「洗浄」、バイキンの数を減らす「消毒」、そしてバイキンをゼロにする「滅菌」について解説。特に、134℃以上の高温の蒸気でバイキンをやっつける「オートクレーブ(蒸気滅菌)」や、熱や薬に強い「芽胞」も死滅させられることなど、材料部の仕事の奥深さに、子どもたちも真剣な表情で聞き入っていました。

座学の後は、滅菌バッグに滅菌物のプレートとインジケータを入れて、ヒートシーラーで包装する体験を行いました。シーラーで挟んだ場所が「温かい!」と、保護者の方と一緒に触ってみるお子様も。この滅菌バッグは、この後向かう材料部で実際に滅菌を行います。
2-2. 材料部の見学

いよいよ材料部内の見学です。材料部の入口には大きなウェルカムポスターが。「大事な器材を守るために、限られた人しか入れないところなんですよ」と、大きな扉の鍵を開けて入室します。保護者の方は最初の部屋に待機していただき、中継で子どもたちの様子をお届けしました。

まずは洗浄エリアへ。子どもたちは、医療用ガウンやマスク、フェイスシールドをしっかりと身につけ、実際の作業スタッフさながらの装いで見学に臨みます。

洗浄→組み立て→包装→滅菌という再生処理のプロセスに沿って、各エリアを順番に見学しました。道具を運ぶロボットや大きな洗浄器(ウォッシャー・ディスインフェクター)、バイキンを滅菌するオートクレーブやプラズマ滅菌器など、実際の設備を間近で見ることができました。

普段は目にすることのない病院の裏側の仕組みに、子どもたちからは「すごい!」「大きい!」といった声があがりました。滅菌が完了すると色が変わる「インジケータ」の仕組みや、清潔さを保つための器材の包装(袋・布・箱)についても、実物を見ながら学びました。

さきほど自分で包装した滅菌バッグをプラズマ滅菌器で滅菌!さあ、インジケータはどんな風に変化するでしょうか?

こちらは回転式の保管棚。ほしい器材を入力すると、自動で棚が動いて該当の場所のランプが光ります。器材はどこに出てきたかな?と、皆で探しました。
2-3. 再生処理業務の体験
設備の見学だけでなく、器材の点検やセット組みなど、実際の再生処理業務も体験しました。5本の歯科用ハンドピースの中から1本だけ違う種類のものを拡大鏡を使って探す「間違い探し」や、器材に彫られた2次元シンボルをトレーサビリティーシステムに登録するセット組みを行いました。


セット組みで使用した器材には見慣れない形のものも。子どもたちの「これは何に使うの?」といった質問には先生が答えてくれました。

見学ツアーの間、材料部では通常の業務も行っています。ちょうど行われていた、2次元シンボルを器材に刻印する作業も見せていただきました。
3. 自由研究にもぴったりの内容
参加者には、当日学んだことや感想を書き込むと自由研究が完成する「新聞(ワークシート)」を配布しました。皆で滅菌したインジケータを貼り付けたり、感じたことを文章にまとめたりしながら、それぞれのペースで自分だけの自由研究を仕上げていました。

4. おわりに
再生処理は、手術や治療を安全に行うために欠かせない業務でありながら、その存在はまだあまり知られていません。SALWAYでは今後も、こうしたイベントを通じて、再生処理という仕事の重要性や面白さを多くの方に知っていただく活動を続けてまいります。
ご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。そして、お忙しい中イベントの準備・運営をしてくださった東京科学大学病院の皆さまに、心から御礼を申し上げます。






