1. GKE-GmbH社とは
1-1. ドイツに本社をもつ滅菌分野のリーディングカンパニー
GKEは、乾熱滅菌・蒸気滅菌・EOG滅菌・ホルムアルデヒド滅菌・過酸化水素ガス滅菌用の化学的インジケータ(CI)や、生物学的インジケータ(BI)、プロセスチャレンジデバイス(PCD)をはじめ、洗浄工程モニタリングインジケータ等の研究・設計・開発・販売を行っています。
ヨーロッパに限らず世界75か国にディストリビューターをもち、今なお市場を拡大しています。
1-2. 国際規格の策定にも積極的に関与
GKEは、ドイツ規格協会(DIN)、欧州標準化委員会(CEN)、国際標準化機構(ISO)といった標準化組織の中で、洗浄および滅菌プロセスのバリデーションと監視の標準化に積極的に関与している企業です。
1-3. 代表的な製品は洗浄工程インジケータやコンパクトPCDなど
SALWAYでは、GKE社の製品を多く取り扱っています。ここでは、主な製品を簡単にご紹介します。
1-3-1. 洗浄工程インジケータ
それぞれのWD(ウォッシャーディスインフェクター)やプログラムに適したインジケータを、5種から選択する業界唯一の洗浄工程インジケータです。スプレーアームの不具合や、誤ったプログラムの選択を検知します。予備洗浄で色落ちすることがなく、洗剤関連の不具合も見逃しません。
1-3-2. ボウィー・ディックテスト
厳格な欧州規格 EN ISO11140-4(7kgコットンテストパック)に適合したボウィー・ディックテストです。高い検知力で、滅菌器のわずかな不具合も検知します。本体はコンパクトなリユースタイプで、8,000回以上使用可能です。
ISO11140-5米国規格(4kgコットンテストパック)に適合したモデルもあります。
1-3-3. コンパクトPCD
コンパクトPCDは、ラパロ鉗子や気腹チューブなどの内腔器材よりも滅菌抵抗性が高く、滅菌しづらいように設計されています。複雑な器材内部レベルでの滅菌条件の達成をモニタリングすることで、自信を持って払い出し、安全を届けることができます。
2. GKE Sales Meeting 2023 の内容
2-1. アジェンダ
Sales Meetingでは、2日間で全4つのWorkshopが開催されます。今回のWorkshopのアジェンダは、以下の通りでした。
ワークショップ | アジェンダ | 担当者 |
Workshop 1 | Validation | P. Kools |
Workshop 2 | Cleaning Process Indicators | J. Metzing / A. Kraft |
Workshop 3 | Biological Indicators | H. Kessler |
Workshop 4 | H2O2 Sterilization and Room Disinfection | U. Kaiser |
2-2. Workshop 1:Validation(バリデーション)
1つ目のWorkshopは、バリデーションです。
高圧蒸気滅菌器で滅菌した医療器材が滅菌できているかを、1つ1つ確認することはできません。そのため、最も滅菌が困難な器材(マスター製品)を確実に滅菌することができるプロセスを検証(バリデーション)し、そのプロセスが確実に実行されているかを毎回確認(モニタリング)する必要があります。
Workshopでは、そもそもバリデーションとは何か?GKE製品を使用してどのようにバリデーションを行うか?などを、GKE社の検証試験を基に学びました。
最も滅菌が困難なマスター製品の一つとして、気腹チューブ等の内腔構造の器材が挙げられます。蒸気浸透性試験器具を用いて滅菌器がどのレベル(HPR値)の内腔器材まで滅菌できるのかを測定し、それがマスター製品よりも上回っているかを確認します。
蒸気浸透性試験器具
マスター製品を模したチューブ
蒸気浸透性試験の結果
2-3. Workshop 2:Cleaning Process Indicators(洗浄工程インジケータ)
2つ目は、WDや超音波洗浄器を使用した洗浄が正しく行われているかをモニタリングする洗浄工程インジケータに関するWorkshopです。
機械洗浄では、部品の消耗や誤った洗剤の注入などにより、適切に洗浄できないことが起こりえます。だからこそ、毎回の洗浄をモニタリングすることが重要になります。
Workshopでは、洗浄モニタリングの必要性やインジケータを使用することでどのような不具合を発見できるかなどを、GKE社が実施した検証試験の結果をもとに学びました。例えば、洗剤のph値や水圧の強さによる洗浄力の違いを、洗浄工程インジケータの変色結果を基に検証した試験などです。
また、各国の洗浄評価に関するガイドラインの動向や、取り組みの成功例の共有など、各国のディストリビューター間で活発なディスカッションを行いました。
洗浄工程インジケータ
超音波洗浄工程インジケータ
pH値の違いによるインジケータの変色結果
2-4. Workshop 3:Biological Indicators(生物学的インジケータ)
3つ目は、BIに関するWorkshop。Workshopを担当したDr.Kesslerは、BIに関するDIN(ドイツ規格協会)やISO(国際標準化機構)のメンバーで、GKE社のBI開発の責任者でもあるスペシャリストです。
Workshopでは、世界のBIに関する動向や、基本的なBIの構造や原理について学びました。特に、超短時間判定用BIの結果予測の仕組み(培養ではなく予測ということが重要)を詳しく解説して頂きました。
GKE社の各種BI
様々なBIの図解
2-5. Workshop 4:H2O2 Sterilization and Room Disinfection(過酸化水素ガス滅菌)
最後のWorkshopは、過酸化水素ガス滅菌についてです。
GKE社が開発したレジストメーターに関する解説や、近年普及してきている過酸化水素ガスプラズマ滅菌の原理、適切なCI(化学的インジケータ)の選択方法などについて学びました。
3. GKE Family Dinner(食事会)
GKE Sales Meetingの後は、GKE Family(世界各国のディストリビューター)で一緒に食事をします。Sales Meetingは、2年毎に現地開催されることが多いので、久々に会う仲間と近況報告で盛り上がります。
またこの時間は、各国の洗浄や滅菌に関する現状について学べる絶好の機会です。日本で過ごしていると当たり前に思っていることが、海外の方から見ると普通ではないことが多々あります。例えば、日常の出荷判定の方法や、滅菌保持時間の長さ、乾燥時間の長さなど。
何よりも「少しでも自国の再生処理を良くしたい」という同じ想いを持った仲間との時間は、刺激的でありながら、心落ち着くかけがえのない時間でした。
お互いに成長して、また会えるのが楽しみです。
Dr.Kaiserによるウェルカムスピーチ
Dinnerの様子
Prost !(乾杯!)
ポークカツレツ
いかがでしたでしょうか。
Workshopの具体的な内容については、別途「再生処理の知識」として発信していきたいと思います。