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【一覧画像あり】さまざまな滅菌方法まとめ・比較一覧

滅菌方法 トップ画像

滅菌する方法は、熱による滅菌法や毒ガスを使用する滅菌法など、様々な種類があります。

 

滅菌する物や各滅菌法の特性に合わせて、使い分けが必要です。

 

「滅菌したい物があるけど、どの方法が適しているか知りたい」

「資格取得の勉強のために、滅菌方法をまとめて知りたい」

 

この記事では、医療業界で使用される滅菌法をまとめて解説します。
前半では、医療機関で滅菌業務を担う中央材料室で使用される4つの滅菌方法を紹介します。

後半では、その他に医療業界で使用される滅菌方法を紹介します。

 

この記事を読めば、「滅菌」の定義や、各滅菌法の概要を理解することができます。

目次

1. 滅菌とは

1-1. 滅菌とは「芽胞を含むすべての微生物を殺滅、または除去すること」

ウイルスや細菌といった微生物は熱や毒で死滅しますが、一部の細菌は芽胞と呼ばれるシェルターのようなものを形成し、生き残ることができます。

芽胞は非常に耐久性が高く、アルコールや100℃の熱にも耐えることが可能で、栄養が無くても生存できます。そして周りの環境がまた生育に適した状態になると発芽し、増殖していきます。増殖のスピードは細菌の種類によりますが、例えば大腸菌は20分で2倍に、1時間で8倍になります。

この芽胞までを含む、すべての微生物を殺滅・除去するのが「滅菌」です。

1-2. 具体的には「微生物が存在する可能性を100万分の1以下に減らす」

医療業界では、微生物が生存する可能性が限りなくゼロに近い状態を「安全な状態」と判断します。

この「生存する可能性が限りなくゼロに近い状態」は、具体的にどこまでゼロに近いのかというと、「確率が100万分の1以下である時」です。つまり、生育可能な微生物が生存している確率が100万分の1以下である状態を指し、この状態にすることを滅菌と言います。

この「生存確率が100万分の1以下」という基準は、無菌性保証水準(SAL)と呼ばれ、NASAやWHOの研究結果を基に作られました。国際規格のISOや、厚生労働省の定める日本薬局方が滅菌の定義として採用しています

無菌性保証水準とは

1-3. 滅菌・消毒・殺菌・除菌・除染・抗菌・制菌・静菌の違い

微生物を殺す・減らす意味の言葉はいくつもありますが、違いは次の通りです。
効果が最も強力で、国際的に通用する定義があるのが「滅菌」です。

滅菌消毒殺菌違いの図

「消毒」「殺菌」「除菌」「除染」「抗菌」「制菌」「静菌」は、対象となる微生物が限定的であったり、効果の程度が明確に定義されていなかったりと、有効性を保証した言葉ではありません。

 1-3-1. 「滅菌」は微生物が存在する確率を100万分の1以下まで減らすこと

滅菌は、芽胞を含むすべての微生物を殺滅し、微生物が存在する確率を100万分の1以下まで減らすことです。そこに微生物が生存している可能性が極めて低い状態です。ISOや日本薬局方で定義されています。

 1-3-2. 「消毒」は、微生物の数を減らしたり無害化すること

消毒は、全ての微生物を殺滅してはいないが、微生物の数を減らしたり無害化することです。日本薬局方で定義されています。消毒は微生物の数を減らすのに効果的ですが、どの程度減らすかは定義がありません。また、消毒薬は高水準・中水準・低水準の3分類がありますが、高水準消毒薬を用いても一部の芽胞菌は生き残ります。

 1-3-3. 「殺菌」は、微生物を殺す行為のこと

殺菌は、微生物を殺す行為そのものを指します。殺菌した結果、死滅した微生物の数がほんの少しで、他に微生物が生存していても殺菌と言えます。

 1-3-4. 「除菌」「除染」は、微生物の数を減らすこと

除菌は、微生物の数を減らすことです。洗剤・石けん公正取引協議会による定義があり、台所用洗剤と住宅用洗剤の除菌表示に関して、試験方法や表示の仕方のルールが定められています。

産業分野では空間の微生物の数を減らすことを、除染と言います。日本薬局方で定義されており、除染は空間や作業室を含む構造設備内に生存する微生物をあらかじめ指定された菌数レベルにまで減少させること、とされています。

 1-3-5. 「抗菌」「制菌」「静菌」は、微生物の増殖を抑えること

抗菌・制菌・静菌は、微生物の増殖を抑えることです。JISによる定義があり、繊維製品(JIS L 1902)、非繊維製品(JIS Z 2801)において、それぞれ試験方法と抗菌性を認める基準が示されています。

2. 滅菌方法の比較一覧

2-1. 中央材料室で使用される滅菌方法4種

中央材料室では主に、高圧蒸気滅菌・過酸化水素ガス(プラズマ)滅菌・EOG滅菌・ホルムアルデヒド滅菌の4つの滅菌方法が使用されています。中央材料室の滅菌方法

中央材料室の滅菌方法4つ(機序)

最も多く使用される滅菌方法は、高圧蒸気滅菌です。
高圧蒸気滅菌ができない器材には、低温で滅菌できるガス滅菌を行います。

ガス滅菌で多く使用されるのは過酸化水素ガスプラズマ滅菌です。最近ではプラズマを発生させない過酸化水素ガス滅菌も使用されるようになってきました。

EOG滅菌はその毒性から、中央材料室では近年減少傾向にあります。ホルムアルデヒド滅菌は比較的新しい滅菌方法で、採用する施設が増えてきています。

 

2-2. 医療業界で使用されるその他の滅菌方法5種

広く医療業界で使用される滅菌方法には、前項で挙げた4つの滅菌方法のほかに、放射線滅菌・火炎滅菌・乾熱滅菌・熱水滅菌・濾過滅菌があります。これらの滅菌方法は主に工場や研究室等で、医療機器や医薬品の生産工程、試験のために使用されています。

なお、濾過滅菌はウイルスを除去できないため、無菌性保証水準を達成できません。厳密な意味では滅菌ではありませんが、通例「濾過滅菌」と呼ばれ、クリーンルームのフィルターシステムや研究室の培地の処理に使用されています。

その他の医療業界の滅菌方法5つ(比較一覧)

その他の医療業界の滅菌方法5つ(機序)

3. 滅菌したい物から滅菌方法がわかる一覧

こちらの図は概要です。実際に適した滅菌方法は、滅菌したい物に付属している取扱説明書や添付文書を参照して確認してください。

 

【中央材料室で使用される滅菌方法】

4. 高圧蒸気滅菌(蒸気滅菌、オートクレーブ滅菌、AC)

 

4-1. 中央材料室で最も多く使われている滅菌方法

高圧蒸気滅菌は、中央材料室で最も多く使用される滅菌方法です。滅菌できる対象が幅広く、滅菌後すぐに器材を使用できる点が便利です。滅菌剤は水であるため、毒性の心配もありません。

また、滅菌器の価格やランニングコストが比較的安価な点も長所です。規模の大きな病院からクリニックまで、多くの施設で使用されています。

4-2. 高温の飽和水蒸気により微生物のタンパク質が凝固して死滅する

 4-2-1. 飽和水蒸気が水に凝縮する時にエネルギーを放出する

水は加熱されると沸騰し、水蒸気になります。気圧の高低によって水が水蒸気になる温度は変化しますが、その温度・気圧下で最も湿度が高い時の水蒸気を「飽和水蒸気」と言います。

この飽和水蒸気は、蒸気よりも温度の低い物質に触れると凝縮して水に戻ると同時に、物質に熱を伝える性質があります。物質を素早く加熱できる性質から、飽和水蒸気は加熱を目的とした様々な場面で用いられており、高圧蒸気滅菌もそのひとつです。

高圧蒸気滅菌では、飽和水蒸気が凝縮する時に放出する熱エネルギーによって、微生物の細胞のタンパク質を凝固させ、殺滅します。

高温である点は、乾いた熱風を用いる乾熱滅菌と同じですが、水は空気よりも熱伝導率が高いので、湿った熱風を用いる高圧蒸気滅菌の方が、より低い温度で効率的に熱を微生物に与えることができます。(※乾熱滅菌の場合は160℃~280℃)

例えば、ドライヤーから出る熱風の温度は平均で100℃~120℃ほどですが、肌にドライヤーの熱風を数秒間当てても火傷することはありません。対して、沸騰したやかんの蒸気では火傷してしまいます。これは空気と水の熱伝導率の違いによるものです。

 4-2-2.  100℃以上の飽和水蒸気を作るためには高圧にする必要がある

通常の大気圧下(1気圧)では、水は100℃で沸騰し、水蒸気になります。しかし微生物の中には、100℃の高温下でも長時間生きられる熱耐性を持つ種類が存在します。
そのような熱耐性を持つ微生物を殺滅するために、100℃以上の飽和水蒸気を作る必要があります。100℃以上の飽和水蒸気を作るには、大気圧よりもさらに圧力をかけることで、水の沸点を上げます。例えば、2気圧では121℃の飽和水蒸気を、3気圧では134℃の飽和水蒸気を作ることができます。

4-3. 滅菌対象物は、金属、ガラス、ガーゼ、リネン類、培地など

高圧蒸気滅菌に適しているのは、熱、水、圧力に耐えられる素材です。
代表的な素材は金属です。メスや鉗子、ピンセット、鍼などの器材は高圧蒸気滅菌に適しています。
布や紙といった繊維も高圧蒸気滅菌できます。ガーゼ、タオルなどのリネン類、セルロースなどが該当します。
プラスチックやゴムは、耐熱性であれば高圧蒸気滅菌できるものがあります。

4-4. 高圧蒸気滅菌できないのは、光学機器(内視鏡、カメラ)、油脂、粉末など

熱や圧力に耐えられない物や、水に弱い素材は高圧蒸気滅菌できません。
例えば、硬性鏡や軟性鏡などの内視鏡や、カメラといった精密機器は高圧蒸気滅菌できません。無水油脂やパラフィンなどの油脂類、乾燥している必要がある粉末も高圧蒸気滅菌に不向きです。また、密封容器は破裂することがあるので注意が必要です。

 

4-5. メリット

 

 4-5-1. 毒性がなく安全

滅菌剤が水であるため、滅菌後に残留しても毒性の心配がありません。
ただし、滅菌後の滅菌物を臨床現場で使用するには乾燥している必要があります。ドレインが溜まっている、もしくは濡れている場合は注意が必要です。なぜなら、水は微生物が増殖する温床になりうるからです。

 4-5-2. 滅菌時間が比較的短く、滅菌後すぐに使用できる

滅菌時間が3分~20分と短く、サイクル時間も45分~60分と比較的短いので、1日に何度も滅菌器を運転できます。
また、滅菌剤に残留毒性がないため、滅菌確認ができたら滅菌後の器材をすぐに使用できます。

 4-5-3. コストパフォーマンスがよい

低温滅菌に比べると、滅菌器の価格やランニングコストが比較的安価です。多くのメーカーが滅菌器を販売しているため、選択肢も幅広いです。

 

4-6. デメリット

 

 4-6-1. 熱・高圧・水に弱い素材には使用できない

121℃以上の高温かつ2気圧以上の圧力がかかるため、熱や圧力に弱い素材は滅菌できません。また、水に弱い素材も滅菌できません。

 

4-7. 注意点

 

 4-7-1. 不純物の無い水を使用するのが望ましい

飽和水蒸気を作る水に不純物が混入していると、器材や滅菌器に汚れや腐食を引き起こしたり、滅菌不良になる原因になります。そのため、多くの中央材料室ではろ過を行い、ミネラルなどの水分子以外を除去したRO水を使用しています。

水に含まれる気体(二酸化炭素や酸素など)も滅菌の妨げとなります。高圧蒸気滅菌における気体の影響について理解を深めたい方は、ぜひ下記の記事をご覧ください。

【記事】非凝縮性ガス(NCG)とは?内腔器材の滅菌で気をつけるポイントを解説します。

 4-7-2. 必要以上の温度・時間での滅菌は器材の劣化を早める

高圧蒸気滅菌の温度や圧力に耐えられる素材であっても、高温や圧力が負荷であることは変わりありません。必要以上の高温や長い時間での滅菌は、器材の劣化を早めてしまいます。

 4-7-3. 滅菌後にドレインや水が溜まっていると汚染の可能性がある

水は微生物が増殖する温床になるため、滅菌されたものは乾燥している必要があります。
高圧蒸気滅菌では、最後に乾燥工程があります。乾燥工程を経てもなお、滅菌したものに水が付着していたり、コンテナ内にドレインが溜まっている場合は注意が必要です。

 

4-8. 高圧蒸気滅菌器の種類

 

 4-8-1. 高圧蒸気滅菌器は「オートクレーブ」とも呼ばれる

高圧蒸気滅菌器は、一般的に「オートクレーブ」とも呼ばれます。英語で Auto Clave と表記し、AC と略します。高圧蒸気滅菌をオートクレーブ滅菌と呼ぶのは、この滅菌器の呼び方から由来しています。

 4-8-2. 据置タイプの大型滅菌器(主に中央材料室で使用)

高圧蒸気滅菌器には、大人の身長を超えるくらいの大きな据置型のものがあります。日々多くの器材を滅菌する必要がある病院の中央材料室では、一般的にこの大型の高圧蒸気滅菌器を使用しています。

高圧蒸気滅菌器(大型)ウドノ-UM大型の高圧蒸気滅菌器(ウドノ医機)

壁際の高圧蒸気滅菌器2台

壁際に2台の高圧蒸気滅菌器(サクラ精機)

 4-8-3. コンパクトな小型滅菌器(主にクリニックで使用)

卓上に置ける小型の高圧蒸気滅菌器もあります。小型のタイプは、主にクリニックなどの小さな医療機関や、病院の中央材料室以外の部署、研究室などで使用されます。

小型滅菌器には3種類あり、欧州規格(EN13060)により各クラスに求められる性能が規定されています。

クラス 蒸気滅菌工程 概要 滅菌対象物
クラスB 反復加圧・真空脱気 真空ポンプを備え、包装内や器材内部における空気除去、蒸気浸透が可能な滅菌器 あらゆるタイプの包材、管腔、非管腔、多孔、非多孔器材
クラスS 製造元の仕様による クラスBとクラスNとの中間の空気除去性能を備えた滅菌器 製造元の指定する器材(歯科ハンドピースに対応した機種もある)
クラスN 重力置換式 真空ポンプを備えず重力を利用して蒸気で空気を置換する滅菌器 包装していない非管腔、非多孔器材

 

クラスBオートクレーブ

小型の高圧蒸気滅菌器(クラスB)(メディア株式会社

 

4-9. プリオン対策としての高圧蒸気滅菌

 

 4-9-1. プリオン病は医療行為を介して感染する難病

医療器材を介して感染する重大な病気に「プリオン病」があります。プリオン病は、脳や全身の機能が衰える神経難病のひとつです。根本的な治療法がなく、症状が現れてから数か月~2年で死に至ります。クロイツフェルト・ヤコブ病とも呼ばれます。

プリオン病はウィルスのような病原性の微生物によって感染するのではなく、プリオン病患者の異常なタンパク質が別の患者へ移植された時に、患者の正常なタンパク質を変性させることで感染します。

 4-9-2. プリオン対策の滅菌条件は134℃で18分など

高圧蒸気滅菌でプリオンタンパクを不活性化させるためには、134℃で18分間滅菌します。高温アルカリ洗浄を2回行い、134℃で8分~10分間滅菌する方法もあります。

なお、プリオン対策の滅菌方法としては他に、過酸化水素ガスプラズマ滅菌を行うこともあります。

 4-9-3. プリオン対策の参考資料

プリオン病対策については、厚生労働省が各診療科毎にまとめたガイドラインがあります。

「プリオン病感染予防ガイドライン(2020年版)」

SALWAYでも、プリオン対策についてまとめた記事を公開しています。

【記事】「プリオン病とは?ガイドラインを基にハイリスク器材の適切な再生処理(洗浄・滅菌)について解説します。」

 

4-10. フラッシュ滅菌

 

 4-10-1. 緊急時に行う簡略的な高圧蒸気滅菌

手術中に器材を落とすなどして汚染してしまったが、すぐにその器材を使用しなければならないといった緊急の場合に、「フラッシュ滅菌」と呼ばれる高圧蒸気滅菌を行うことがあります。

フラッシュ滅菌は、真空引きの回数や乾燥工程を省略した簡略的な滅菌方法です。また、保管されることを想定していません。日常的には行わない、あくまで緊急用の手段です。

 4-10-2. 本来複数回行う真空引きの工程を1回にする

フラッシュ滅菌の具体的な方法は、通常3回行う真空引きを1回にして、通常の温度と時間で滅菌を行います。真空引きの回数が少ないため、空気除去が十分にされない可能性があります。空気が残っていると、滅菌剤が十分に曝露しない箇所が発生し、滅菌不良を起こすおそれがあります。内腔構造の器材や、リネン類のように空気を含む滅菌物は、特に注意が必要です。

フラッシュ滅菌の別の呼び方として「ハイスピード滅菌」と言うことがあり、しばしば混同して使われることがあります。この記事では、真空引き1回で行う高圧蒸気滅菌をフラッシュ滅菌と呼んでいます。例えば、通常真空引き3回+滅菌時間10分で滅菌をしている施設が、真空引き3回+滅菌時間5分で行うハイスピード滅菌は、フラッシュ滅菌とはしません。

 4-10-3. 滅菌剤が浸透しやすい包装材を使う

フラッシュ滅菌は、真空引きを1回しか行わないため、滅菌不良を起こしやすい方法です。滅菌コンテナではなく滅菌バッグを使うなど、蒸気が浸透しやすい包装材を選びます。

 

5. 過酸化水素ガスプラズマ滅菌(過酸化水素ガス滅菌)

5-1. 高圧蒸気滅菌ができない場合に検討される低温の滅菌方法

過酸化水素ガスを使用する滅菌法は、高圧蒸気滅菌できない器材の滅菌に検討される方法です。45℃~55℃程度の低温で処理できるため、熱に弱いゴムやプラスチックの素材、精密機器を滅菌できます。

過酸化水素ガスは毒性がありますが、滅菌後は水と酸素に分解されるため、基本的に残留毒性の心配は少ないと言えます。また、サイクル時間も高圧蒸気滅菌とあまり変わらず、比較的短いです。

過酸化水素ガスを使用する滅菌法には、プラズマを発生させる「過酸化水素ガスプラズマ滅菌」と、プラズマを発生させない「過酸化水素ガス滅菌」の2種類があります。

5-2. フリーラジカルの作用が微生物を死滅させる

過酸化水素ガスプラズマ滅菌・過酸化水素ガス滅菌ともに、フリーラジカルの作用で微生物を殺滅します。過酸化水素ガスの一部は自然に分解してフリーラジカルを生じます。フリーラジカルとは、通常ペアである電子が1つしかない不安定な状態で、細胞を酸化させる作用があります。

過酸化水素ガスプラズマ滅菌では、過酸化水素をプラズマ状態にすることで、過酸化水素を完全にフリーラジカルとするため、さらに反応しやすくなります。プラズマとは、固体・液体・気体に並ぶ物質の4番目の状態で、イオンや電子に分かれて激しく運動している状態です。

5-3. 滅菌対象物は、光学機器、精密機器、ゴム、プラスチックなど

過酸化水素ガス(プラズマ)滅菌は、低温・低圧で滅菌できるのが特徴です。高温や圧力に弱く、高圧蒸気滅菌では破損したり劣化したりしてしまう器材を滅菌できます。

滅菌対象物としてまず挙げられるのは、光学機器や精密機器です。具体的には、硬性鏡やカメラ、電源、バッテリー類などです。ゴムやプラスチック素材の滅菌にも適しています。プラスチックは材質の種類によっては滅菌できないもの(アクリル樹脂など)もあります。

金属やガラスも滅菌できますが、高圧蒸気滅菌できるものであれば、過酸化水素ガス(プラズマ)滅菌を行うよりも高圧蒸気滅菌の方が安価です。

5-4. 繊維類、粉末、液体、一部の管腔器材は不向き

過酸化水素ガスを吸着してしまう素材は滅菌できません。セルロースなどの紙類や、ガーゼ、タオル、リネン類などの布類、液体、粉末が挙げられます。

また、管腔器材は物によって滅菌できないケースがあります。滅菌器の機種やサイクル毎に異なるため、取扱説明書を確認する必要があります。

 

5-5. メリット

 

 5-5-1. 高価な精密機器を滅菌できる

高圧蒸気滅菌では破損してしまう精密機器を滅菌できるのは大きなメリットです。内視鏡手術など高額な機器を使用する手術が年々増加しており、機器への影響が少ない低温滅菌のニーズが高まっています。

 5-5-2. 残留毒性が少なく、安全性が高い

過酸化水素は、滅菌終了後には水と酸素に分解されます。滅菌物の残留毒性の心配がないというメリットがあります。

 

5-6. デメリット

 

 5-6-1. コストが高い

過酸化水素ガス(プラズマ)滅菌器は、価格が比較的高額です。また、ランニングコストとして過酸化水素水溶液の購入が必要となり、高圧蒸気滅菌器の1回あたりにかかる費用と比較すると目安としてだいたい2倍かかります。

実際に中央材料室で各滅菌方法のコストを計算した資料は下記からご覧いただけます。

(資料)114.滅菌工程料の算出(第3報)− 12年の経過・新体制による変化から −

 

 5-6-2. 過酸化水素の管理が必要

滅菌時に使用する過酸化水素水溶液は高濃度であるため、毒物劇物取締法に従い、医薬用外劇物として管理しなければなりません。具体的には、飛散や漏れ等を防ぐ構造があり鍵のかかる場所への保管、「医薬用外劇物」の表示、在庫数の管理が必要です。

 

5-7. 注意点

 

 5-7-1. 包装材やラベルシールはプラスチック素材のものを使用する

滅菌物を包装する滅菌バッグや滅菌ラップは、タイベックやポリプロピレンといった、プラスチック製のものを使用します。タイベックとは、プラスチックの一種であるポリエチレン製の不織布のことです。

セルロースなど紙製の包装材は、過酸化水素ガスを吸着してしまい、滅菌器内の過酸化水素の濃度が下がり滅菌不良を起こす可能性があるため使用できません。また、プラスチック製の滅菌バッグは、シーラーの温度も高圧蒸気滅菌用と異なるため、注意が必要です。

見落としがちですが、滅菌日や期限を記載するラベルシールやインジケータも、過酸化水素ガス(プラズマ)滅菌に対応したプラスチック製のものを使用する必要があります。

過酸化水素用ラベルとインジケータ

 5-7-2. 積載量や滅菌中の位置ずれに注意する

滅菌物にガスが十分に浸透するよう、滅菌バッグは適切な大きさのものを使用し、積載はチャンバーの容量に対して7割程度までにします。滅菌バッグは重ねて置くのではなく立てるようにして、滅菌サイクル中に動かないようにします。滅菌バッグのフィルム面同士が背中合わせになるように立てると、ガスの浸透性が良くなります。

 5-7-3. 過酸化水素は素手で直接触らない

過酸化水素に直接触れると化学熱傷を起こすことがあります。滅菌サイクルが中断された場合や、滅菌後の滅菌物が濡れている場合、過酸化水素が残留している可能性があるため、直接触れないようゴム手袋等を着用します。

 5-7-4. 過酸化水素は室温で保管する

滅菌剤の過酸化水素は、高温下では分解してしまい、濃度が下がってしまうことがあります。保管時は、一定の室温が保たれる場所であるか確認します。

 

5-8. 滅菌器の種類

 

 5-8-1. 最も多いのはプラズマを発生させる「ステラッド」や「V-PRO」

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ステラッド(ASP Japan)

多く使用されている過酸化水素ガス滅菌器は、プラズマを発生させるタイプの「ステラッド」と呼ばれるシリーズです。大学病院など、規模の大きな病院で多く使用されています。
このほか、プラズマタイプでは「V-PRO」や「RENO」といった滅菌器が販売されています。

 5-8-2. プラズマを発生させない滅菌器は比較的安価

過酸化水素ガス滅菌器

Canon

プラズマを発生させない過酸化水素ガス滅菌器は、プラズマタイプよりも比較的安価です。「ES」シリーズや、過酸化水素とオゾンの混合ガスを使用する「XZ」など、近年増えつつあります。

 

6. EOG滅菌(酸化エチレンガス滅菌、エチレンオキシドガス滅菌 )

6-1. 毒性が強いため、他の滅菌法ができない場合に行われる

EOG滅菌は、酸化エチレンガスの強い毒性を利用した滅菌方法です。その毒性は、微生物はもちろん、人体に対しても強い毒となります。

低温で滅菌できることから、高圧蒸気滅菌できない器材の滅菌法として行われてきました。近年では、酸化エチレンガスは発がん性が疑われるとして規制が強化され、より毒性の少ない過酸化水素ガス(プラズマ)滅菌が登場したことから、医療現場では減少傾向にあります。

6-2.  45℃~60℃の酸化エチレンガスが微生物のDNAを破壊して死滅させる

EOG滅菌では、エチレンオキシド (ethylene oxide) が微生物を構成するタンパク質や遺伝子のDNAをアルキル化することによって、微生物を死滅させます。DNAがアルキル化されると、その細胞は機能障害が起こり、これ以上増殖することができなくなります。

 

6-3. 滅菌に適しているのは熱に弱いゴムやプラスチック

EOG滅菌に適しているのは、熱に弱い素材です。ゴムやプラスチック素材のもの、硬性鏡や内視鏡といった光学機器を滅菌できます。

6-4. 液体や油脂、ガスが浸透しづらいものには不向き

液体は酸化エチレンガスが滅菌物に溶け込んでしまうためEOG滅菌できません。また、油脂や構造上ガスが十分に浸透しづらいものも適していません。

6-5. メリットは低温で滅菌できること

EOG滅菌のメリットは、低温・低圧で実施できることです。高圧蒸気滅菌に耐えられない素材や光学機器を滅菌することができます。

6-6. デメリットは強い毒性と工程にかかる時間が長いこと

EOG滅菌のデメリットは、酸化エチレンガスに強い毒性があることです。作業者を守るため、EOG滅菌器の設置場所は通常の区域と分け、運転時は立ち入らないようにします。また、作業者はガス吸着マスクなどの防護具を着用する必要があります。

滅菌後、滅菌物の残留ガス除去(エアレーション)に長い時間がかかることも大きなデメリットです。ガスを吸着しやすい素材の場合、数日以上かかります。

 

7. ホルムアルデヒド滅菌(LTSF滅菌)

7-1. 比較的新しい低温の滅菌方法

ホルムアルデヒド滅菌は、比較的新しい滅菌方法です。日本では2011年に認証が取得され、医療現場で使用できるようになりました。

欧州では2003年にホルムアルデヒド滅菌の規格が策定され、イギリスやドイツでは日常的に実施されています。

ホルムアルデヒド滅菌の有効性をまだ認めていない国もあります。例えば、オランダなどいくつかの国では推奨しておらず、アメリカではこの滅菌法自体ほとんど知られていません。

7-2.  50℃~75℃のホルムアルデヒド蒸気が微生物のアルキル化を起こし死滅させる

LTSF滅菌の図

ホルムアルデヒド滅菌では、ホルムアルデヒドが微生物を構成するタンパク質や遺伝子の核酸をアルキル化することによって、細胞の機能障害を起こし、微生物を死滅させます。

ホルムアルデヒドだけでは細胞に浸透しませんが、水蒸気を加えることで浸透を促進させます。ホルムアルデヒド滅菌はLTSF滅菌とも呼ばれますが、Low Temperature Steam(低温の蒸気)+  Formaldehyde(ホルムアルデヒド滅菌)の頭文字をとっています。

7-3. 滅菌できるのは50℃~75℃程度の蒸気に耐えられる物

ホルムアルデヒド滅菌に向いているのは、高熱や圧力に弱い素材です。50℃~75℃程度の蒸気に耐えられるものであれば滅菌できます。ゴムやプラスチック素材、硬性鏡や内視鏡といった光学機器を滅菌できます。適応範囲は、EOG滅菌とほぼ同じと言われています。

7-4. 液体や油脂、ガスが浸透しづらいものには不向き

液体や油脂はホルムアルデヒド滅菌できません。また、ガスが浸透しづらい構造の物も適していません。

7-5. メリットは低温で滅菌できる

ホルムアルデヒド滅菌のメリットは、低温で実施できることです。また、EOG滅菌に比べると、エアレーションの時間が短いため、サイクル時間が比較的短時間と言えます。

7-6. デメリットは毒性があること

ホルムアルデヒド滅菌のデメリットは、滅菌剤であるホルムアルデヒドに毒性があることです。滅菌器にホルマリン溶液を補充する際は、マスクや手袋、ゴーグル等の防護具を着用する必要があります。

 

【医療業界で使用されるその他の滅菌方法】

8. 火炎滅菌

 8-1. ガスバーナーの火炎に数秒かざして微生物を殺滅させる

火炎滅菌の図

火炎滅菌は、滅菌物を直火に数秒間当てて加熱することで微生物を殺滅します。具体的には、ガスバーナーの炎の最も温度が高い部分にかざします。この部分は外炎の中でも内炎に近い炎で、1800℃にもなります。火炎滅菌は数秒間で行えるので、早くて簡便です。

 8-2. 金属やガラスなど火炎で破損しない物に用いる

火炎滅菌できるのは、金属やガラス、セラミックなどの直火に耐えられる物です。針やループ、剪刃などを滅菌できます。

熱に弱い素材、液体、プラスチックや光学機器は、火炎滅菌できません。

 8-3. 再汚染の可能性があるため滅菌後はすぐに使用する

火炎滅菌した物は包装されていないため、すぐに汚染してしまう危険があります。火炎滅菌した物の周辺の空気が収縮し、汚染のおそれがある空気を引き寄せてしまうためです。

そのため、火炎滅菌した物は完全に冷めていなくても、すぐに使用する必要があります。

 

9. 乾熱滅菌

 9-1.  160℃以上の熱風を30分~120分当てることで微生物を死滅させる

乾熱滅菌は、160℃以上の熱風を当てることで微生物の細胞を酸化させて死滅させます。160℃では120分、170℃では60分、180℃では30分乾熱(熱風)を当てます。

微生物は湿熱に比べると乾熱には長時間耐えられるため、湿熱を用いる高圧蒸気滅菌に比べ、乾熱滅菌は長い時間がかかります。また、滅菌物を冷却する時間も必要です。

 9-2.  250℃以上ではパイロジェン(発熱物質)を不活化できる

250℃以上の温度で30分以上乾熱滅菌すると、パイロジェンを不活化することができます。パイロジェンは、体内で発熱作用を引き起こす物質です。

なお、パイロジェンのひとつにエンドトキシンがあり、血液に侵入するとショック症状や敗血症の原因になります。そのため、注射器や注射剤・透析剤等において、エンドトキシンフリーであるかは重要です。

 9-3. 金属や油脂など、高耐熱性があり圧力や水に弱いものに適している

乾熱滅菌には、高耐熱性があり蒸気では効率的に滅菌できないものに使用されます。水を使わないため金属を腐食させず、高圧を使わないためガラスを破損させずに滅菌できます。金属やガラス器具のほか、蝋やワセリンといった油脂、粉末の滅菌に適しています。

不向きなのは、高温で劣化したり破裂してしまうゴム・プラスチック・衣類です。精密な光学機器も乾熱滅菌できません。

 9-4. 医療機器・医薬品の工場や研究施設で使用されている

乾熱滅菌は、医療機器や医薬品の製造工程や、研究施設での器具の滅菌で主に使用されています。製造工程では大型の乾熱滅菌器が、研究施設では卓上タイプの小型の乾熱滅菌器が使用されます。

 

乾熱滅菌装置 サクラエスアイ株式会社

大型の乾熱滅菌器(サクラエスアイ株式会社)

 

ラボ用乾熱滅菌器 ヤマト科学株式会社

小型のラボ用乾熱滅菌器(ヤマト科学株式会社)

 

10. 熱水滅菌

 10-1.  121℃の熱水で微生物を殺滅する

熱水滅菌は、121℃に熱した水を15分間当てることで微生物を死滅させます。滅菌器の構造は、熱水がシャワーのように被滅菌物に降り注ぐ構造をしており、シャワー滅菌器とも呼ばれます。滅菌後は冷水で被滅菌物を冷却するため、比較的短時間で行うことができます。

 10-2. 「熱水消毒」とは別物

消毒法のひとつに「熱水消毒」がありますが、熱水滅菌とは別のものです。熱水消毒は65℃~100℃の温度で行うもので、日本では90~93℃の熱水で5~10分間行うことが基本条件となっています。

医療機関の再生処理において、滅菌工程の前に洗浄を行いますが、この洗浄工程で使用される機械(ウォッシャーディスインフェクター)では熱水消毒が行われます。

 10-3. 栄養剤や輸液バッグなど無菌液の製造工程で使用されている

熱水滅菌は、栄養剤や輸液バッグといった無菌液を大規模に製造する工程で行われています。シャワー滅菌器はとても精密な装置で、高度な制御システムが求められます。

熱水スプレー式滅菌装置 株式会社日阪製作所

熱水スプレー式滅菌装置(株式会社日阪製作所)

 

11. 放射線滅菌

 11-1. 放射線で細胞のDNAにダメージを与えて微生物を死滅させる

放射線滅菌の図

放射線滅菌は、高いエネルギーを持った放射線を照射することで、微生物のDNAや細胞膜にダメージを与えて死滅させます。

放射線は、直接作用と間接作用で微生物にダメージを与えます。直接作用として、DNAの二重螺旋構造を切断します。間接作用として、細胞の水分子に作用してフリーラジカルを発生させ、そのフリーラジカルがDNAの損傷を引き起こします。

 

 11-2. 使用される放射線はガンマ線と電子線

放射線の種類

放射線は、電離作用を持つ「電離放射線」と、電離作用を持たない「非電離放射線」がありますが、単に「放射線」と言った場合、一般的に電離放射線の方を指しています。

放射線は、大きく分けて「波長が短い電磁波」と「高速の粒子」の2種類があります。放射線滅菌に用いられる放射線として、「波長が短い電磁波」のガンマ線、「高速の粒子」の電子線があります。

ガンマ線は電磁波であり、光の一種です。電磁波は、テレビ放送や電子レンジに使われる波長の長い電波から、可視光線や紫外線など様々なものがあり、中でも波長が短い電磁波にガンマ線やX線があります。X線でも滅菌できますが、費用が高額になることから日本では実用化されていません。なお、電磁波の一種である紫外線は、電離作用がないため放射線ではありませんが、殺菌作用があるため紫外線殺菌灯などで利用されています。

電子線は、高速で飛び出している電子の束です。金属には電子があり、電流を流して加熱すると電子が金属の外へ飛び出します。この電子を電極や電圧で加速したものが電子線です。

  11-2-1. ガンマ線滅菌は透過力が高い

ガンマ線滅菌は、透過力が高く、密度の高いものでも処理できます。

ガンマ線滅菌には、放射線を自然に放出する放射性物質(主にコバルト60)を利用します。放射性物質から出る放射線は人工的に停止できないため、通常24時間連続照射が行われています。

  11-2-2. 電子線滅菌(EB滅菌)は処理時間が短い

電子線滅菌は、処理時間が数秒と短いのが特長です。

電子線滅菌は、加速器と呼ばれる機械で人工的に電子線を発生させて行います。放射性物質ではなく機械で発生させる放射線なので、オンオフの切り替えや透過力を変えることができます。

 11-3. 常温で最終梱包のまま滅菌できる

放射線滅菌は、常温で行うことができるのが利点です。高温や高圧、水に耐えられない物を滅菌できます。残留する毒性がないため、エアレーションなどの後処理も不要です。また、透過力が高いため、製品をパッケージに入れてさらに段ボールに詰めた最終梱包の状態で滅菌できます。

放射線滅菌を行うには、耐放射線性の素材である必要があります。プラスチックやゴムなど、種類によっては劣化する物があります。

 11-4. 使い捨て医療機器を大量生産する工場で使用されている

放射線滅菌は、使い捨ての医療機器を大量生産する製造工程で使用されています。具体的には、滅菌バッグ、手袋、注射器、マスク、医薬品原料などです。

放射線滅菌を行う施設は、2m以上のコンクリートによる遮蔽が必要なため、専門の大規模な施設で行われています。また、放射線滅菌器を扱うには、放射線取扱主任者という国家資格を取得する必要があります。

 

12. 濾過滅菌

 12-1. 空気や液体を細かいフィルターで微生物(細菌)を分離除去する

濾過滅菌は、孔径が細かいフィルターに通すことで細菌を除去する方法です。HEPA(へパ)や、ULPA(ウルパ)と呼ばれるフィルターがよく使用されます。HEPAフィルターやULPAフィルターはJIS規格があり、粒子捕集率などの性能が定められています。

対象は空気などの気体や液体です。フィルターを通過する仕様上、固体には適用できません。常温で実施できるため、熱で変質してしまう液体に使用されます。

 12-2. ウィルスは除去できないため厳密には「滅菌」ではない

濾過滅菌に使用されるフィルターは、孔径0.22μm~0.1μmといった非常に細かいものですが、ウイルス(0.01µm)はそれより小さいため、除去することができません。 すべての微生物を除去し、無菌性保証水準を達成することはできないため、濾過滅菌のみによって滅菌された状態を作ることはできません。

最終的に無菌状態を作りだすには、濾過滅菌と別の滅菌法を組み合わせる必要があります。

 12-3. クリーンルームや研究室の実験で使用されている

濾過滅菌は、病院や工場のクリーンルームで空気中の細菌を除去するのに使用されています。研究室では、実験での分析サンプルや培地の処理に使用されています。

 

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