とも耳鼻科クリニック 新谷朋子先生『オトヴェントを習慣化するために、患者自身が効果を実感できる診察の実践』

とも耳鼻科クリニック 新谷朋子先生『オトヴェントを習慣化するために、患者自身が効果を実感できる診察の実践』

1994年にスウェーデンにて開発された「オトヴェント」は、就学前の小児の90%が罹患すると言われている「小児滲出性中耳炎」の症状緩和を目的に活用されている医療機器です。中耳に浸出液が溜まる小児滲出性中耳炎の症状の緩和には、耳管を広げて浸出液を排出しやすくする「耳管通気」が方法のひとつとして挙げられており、専用のバルーンに鼻から息を吹き込んで使用する同製品は、患者自身による自己耳管通気をサポートする製品として、2015年より「小児滲出性中耳炎診療ガイドライン」において使用が推奨されてきました。 北海道札幌市にて「とも耳鼻科クリニック」を営む新谷朋子先生は、2010年の開業以来、滲出性中耳炎の患者自身がオトヴェントの使用を習慣化するための工夫を取り入れた診療を日々実践されています。本記事では、新谷先生がオトヴェントを導入された経緯をはじめ、耳鼻科医として普段の診療の際に心がけていることについてお話しいただきました。

 

とも耳鼻科クリニック 新谷朋子先生

札幌医大にて10年以上の経験を積み、開業医の道へ

-新谷先生が医師の道を目指したきっかけは何でしたか?

私はもともと札幌出身で、当時身近な友人で札幌医大を目指す人が多かったんですね。高校2年生の時に、札幌医大に進学した憧れの女性の先輩から大学生活について聞く機会があり、私も目指したいなと思うようになったのが最初のきっかけでした。

とも耳鼻科クリニック

在学時は小児科に興味を持っていたんですが、担当の教授から「耳鼻科なら、小児から成人まで診察できるよ」と教えていただき、卒業後には耳鼻科に入局することを決めました。ちょうどその頃、札幌医大では小児難聴についての研究が盛んで、耳鼻科に入局した1年目には、当時北海道では1例目となる人工内耳の患者さんを担当する機会もありました。現在、小児難聴の多くが遺伝的な要因やサイトメガロウイルスの感染が原因だとされていますが、その頃はまだ原因がわからない病気だったんですね。聴力が回復した患者さんの様子をみるうちに、耳が聴こえるということの大切さをあらためて実感するようになり、補聴器や難聴についてより深く勉強するようになったんです。

とも耳鼻科クリニック 新谷朋子先生

-2010年に当院をスタートされていますが、ご自身のクリニックを開業された経緯をお聞かせください。

札幌医大にて10年以上の経験を積み、患者さんの主治医を務めることや、手術の執刀医を担当することも増えていましたが、手術後のリハビリや言語訓練においては、大学病院よりも通いやすい施設が必要なのではないかと考えるようになったんです。日常的な診療やリハビリには、平日の遅い時間や土日の方が通いやすい患者さんも多いため、大学病院の近くにそういったクリニックをつくれないだろうかと。とはいっても、具体的に考えるようになったのは開業の 1、2年前で、すぐ目の前に札幌医大があるこの立地を見つけたことで、当時から一緒に勤務していた言語聴覚士の方と一緒にクリニックをはじめることを決意しました。

とも耳鼻科クリニック

とも耳鼻科クリニック 新谷朋子先生

-実際に大学病院と合わせてこちらに通われている患者さんも多いですか?

そうですね。普段は大学病院で人工内耳を見てもらっている方が、中耳炎の治療のためにこちらに来られる場合もあります。札幌医大の他にも、周辺に数百床規模の病院がいくつかあるため、手術や入院が必要な患者さんの場合は、うまく連携して受け入れていただいています。地下鉄の駅からも近いので、近所の方だけではなく、遠方からの患者さんも多いですね。

とも耳鼻科クリニック

鼓膜の動きをモニターで見ながらオトヴェントの効果を紹介

-現在、新谷先生は滲出性中耳炎の治療の際にオトヴェントを患者さんにご案内いただいていますが、オトヴェントを知ったきっかけは何でしたか?

医大で働いていた頃に参加した日本小児耳鼻咽喉科学会で知ったのがきっかけだったと思います。現在もなるべく年に数回は学会に足を運び、いろんな先生方の話を聞くようにしているんですが、当時展示会にてオトヴェントのサンプルをいただき、実際に自分でも使ってみたところ、これはいいなと思ったのを覚えています。

とも耳鼻科クリニック 新谷朋子先生

とはいえ、実際に患者さんにご案内するようになったのは開業医になってからでした。大学では、医師が直接物品を購入することはできず、診療の際に患者さんに何か製品をご紹介したとしても、売店で買ってもらうしかなかったんですね。現在のように、診察時にすぐサンプルをお渡しし、そのまま製品をご購入いただけるのはクリニックのいいところだと思います。患者さんのなかには、大学病院の帰りにオトヴェントなどの製品を買いにこちらに立ち寄る方もいらっしゃいますね。

とも耳鼻科クリニック 新谷朋子先生

-普段患者さんにオトヴェントについてどのように紹介されていますか?

なによりオトヴェントは毎日使うことが大事なので、実際に使ってみてもらった上で、効果を実感してもらうことが大切だと思っています。なので、診察の時には患者さんの鼓膜を内視鏡で確認し、実際にオトヴェントを使ってみてもらうことで、癒着してしまった鼓膜が持ち上がる様子をモニターで見てもらうようにしています。お子さんの場合は、保護者の方にも体験してもらうことで効果を納得いただき、お子さんがご自宅で習慣化できるように、使い方について書かれたパンフレットもお渡ししています。

とも耳鼻科クリニック

とも耳鼻科クリニック 新谷朋子先生

-オトヴェントの利点についてどのように感じていらっしゃいますか?

オトヴェントが導入される以前は、耳管通気のために鼻の中に管を入れて空気を送る処置がおこなわれることが多かったんですが、副損傷の事故が起こる可能性が報告されるようになり、最近ではあまり行われなくなっています。オトヴェントは、患者さん自身がご自宅で対処ができる点に大きなメリットがあるのではないかと思います。

とも耳鼻科クリニック

患者の生活に変化を促す、日常診療の実践

-オトヴェントに限らず、患者さんへの説明の際に先生が工夫されていることはありますか?

当院では、診察の際になるべくクラークと看護師が同席するようにしており、患者さんにお伝えしたことをクラークがすべてカルテに記入し、看護師は隣の処置室で、もう一度必要な説明を患者さんにしてもらうようにしています。さらに、ひとりの患者さんをひとりの看護師が診る担当制を採用しているため、処置室でのご説明からお会計までを、同じ看護師が付き添います。これはスタッフが多いからこそできることだと思いますが、日々たくさんの患者さんを診察する中でも、こちらの伝えたいことを十分に患者さんに伝え、次回の診療につなげるようにしています。 処置室では、オトヴェントの使い方を再度説明することもありますし、当院では鼻詰まりの改善と風邪の予防のために鼻うがいも推奨しているので、看護師が動画を見せながら説明することもありますね。

とも耳鼻科クリニック 新谷朋子先生

-普段から先生が患者さんと接する際に心がけていることはありますか?

開業医を続けていると、長年通ってくださる患者さんもたくさんいらっしゃるんですが、なかなか症状がよくならない方には、栄養療法や分子栄養学についてもご案内するようにしています。患者さんの多くが、そもそも治療以前に栄養と睡眠が足りていないことも多く、それらを見直すだけでも、症状の改善につながることがあるんですね。若い女性の場合、メニエールによるめまいなどの症状がある方が多いですし、毎月のように熱を出してしまう子どもの多くが、免疫力がつかない食事や睡眠不足が原因の場合もあります。根本的な治療のためには、まずは普段の食事内容と睡眠時間を紙に書き出すことで原因に気づいてもらい、それに合わせて指導するようにしているんです。

とも耳鼻科クリニック

なかには、すぐに効果のある抗生物質や医療点滴が欲しいという方もいますし、耳鼻科で食事の指導をされるなんて……思う患者さんもいらっしゃると思うのですが(笑)。気軽に診療を受けることができる、わたしたちのようなクリニックの場合、患者さんの生活にちょっとした変化を促すような医療を実践した方がいいのではないかと考えています。コロナ禍以降は、そういった普段の生活で実施できることを患者さんにお話しすることが増えていると思いますね。

とも耳鼻科クリニック 新谷朋子先生

滲出性中耳炎の治療においても、食事や睡眠はもちろん、普段の鼻すすりが原因になっている場合も多く、知らず知らずのうちに症状が悪化してしまい、将来的に滲出性中耳炎になってしまうこともあります。必要な症例にはチュービングなどの治療をおこなっていますが、癒着性もしくは接着性中耳炎は自覚症状がないため、症状の悪化の防止のために、まずは日常的にオトヴェントを使用した自己耳管通気をおこなってもらっています。

とも耳鼻科クリニック 新谷朋子先生

とも耳鼻科クリニック

-普段の仕事の中で、どのような場面でやりがいを感じますか?

症状がよくなった患者さんのお話を聞ける機会はなかなかないのですが、別の症状のご相談で後日来院された方から、「前回診てもらったあとに、すぐよくなりましたよ」とおっしゃっていただけることもあり、そういった時はやっぱりうれしいですね。医大時代からの患者さんもいらっしゃいますし、赤ちゃんの頃から診ている患者さんが先日お子さんを出産されたことを知る機会もあり、それは開業医を長年続けてきたからこそ感じられるやりがいにつながっています。

とも耳鼻科クリニック 新谷朋子先生

-最後に、新谷先生が今後も医師として取り組んでいきたいことをお聞かせください。

わたしたちのような規模のクリニックの日常診療では、患者さんの症状を悪化させないために何ができるのかを考えることが重要だと思うので、これからもスタッフと協力しながら、患者さんへの丁寧な説明と、効率の良い診療を継続していきたいですね。最近では、子ども向けの一般市民講座を小学校で実施したり、医師会にて認知症の悪化を防ぐための補聴器の必要性について講演したりする機会もあるので、食事や睡眠の指導も含めて、病気になる前の段階から健康を保つための方法についても普及させていきたいと考えています。

オトヴェント

 

オトヴェント製品ページ

オトヴェントの製品ページはこちら。解説動画もご覧いただけます。

取材日
取材場所
北海道札幌市中央区 とも耳鼻科クリニック
※ご所属・肩書・役職等は全て掲載当時のものです。