目次
- 本記事の構成
- 1. 洗浄インジケータ(WD)
- 1-1. 洗浄なくして滅菌なし
- 1-2. 洗浄工程の品質保証は「バリデーション×日常モニタリング」で考える
- 1-3. ガイドラインや施設評価ツールにおいても洗浄インジケータの使用が言及されている
- 1-4. ウォッシャー・ディスインフェクター(WD)では検知できないエラーもある
- 1-5. WD/プログラムの洗浄力に最も近い抵抗性をもつインジケータを選ぶ
- 1-6. 本洗浄工程が終了するギリギリのタイミングで色落ちするインジケータを選択する
- 1-7. SALWAYの洗浄工程インジケータは5種から「選択」する
- 1-8. 同じWDでも、洗剤やプログラムによって最適なインジケータは異なる
- 1-9. 洗浄工程インジケータにより洗剤供給チューブの詰まりを検知
- 1-10. 器材内部の洗浄工程の評価にはフローPCDを使用する
- FAQ-1. 酵素洗剤とアルカリ洗剤で、1種類の洗浄インジケータを共通運用することは可能か?
- FAQ-2. 洗浄インジケータはどのくらいの頻度で使用すればよいか?
- 2. 洗浄インジケータ(超音波洗浄装置)
- 3. ボウィー・ディックテスト
- 4. 包装内CI
- 5. BI
- 6. PCD
- 6-1. PCDとは、意図的に蒸気浸透性を悪くする抵抗性を持ったデバイス
- 6-2. PCDがマスター製品と同等以上の滅菌抵抗性を持つという妥当性を確認することが求められる
- 6-3. マスター製品よりも滅菌抵抗性が低いPCDでは、根拠を持った出荷判定ができない
- 6-4. ワーストケースの考え方で出荷判定をする
- 6-5. PCDにはポーラス型とホローロード型がある
- 6-6. 内腔器材の滅菌保証にはホローロード型を選択する
- 6-7. SALWAYのコンパクトPCDは器材内部レベルでの滅菌条件達成を確認する
- 6-8. コンパクトPCDは重量11.3kgのコンテナ内の疑似ラパロ鉗子よりも滅菌抵抗性が高い
- 6-9. コンパクトPCDは主要なマスター製品よりも昇温が遅い
- 6-10. コンパクトPCDを使用することで、高いレベルの滅菌保証を低コストで実現可能
- FAQ-1. コンパクトPCDが合格しなくなった。簡単に合格するPCDに変更するべきか?
- FAQ-2. 滅菌器の蒸気浸透性能を改善するには、何をしたらよいか?
- FAQ-3. プリオンサイクル (134℃ 18分) の滅菌保証はどうしたらよいか?
- 7. 過酸化水素ガス滅菌用タイプ4CI
- 7-1. 減圧と過酸化水素の注入を繰り返して滅菌する
- 7-2. 過酸化水素ガス滅菌のプログラムは、ハーフサイクル法によるバリデーションで設定される
- 7-3. 器材の形状や素材にあわせて複数のプログラムが設定されている
- 7-4. 過酸化水素ガス滅菌用タイプ4CIとは
- 7-5. 過酸化水素ガス滅菌用の包装内部用CIにはタイプ4しかない
- 7-6. それぞれのプログラムの滅菌工程のなるべく終盤で変色するCIが望ましい
- 7-7. SALWAYのタイプ4CIは、4つのSV値からプログラムに合った最適なインジケータを選択できる
- 7-8. ハーフサイクルで不合格、フルサイクルで合格するSV値を選択可能
- 7-9. 全プログラムで共通のCIを選択することも可能
本記事の構成
本記事では、お客様から多くのお問い合わせを頂く洗浄・滅菌工程の日常モニタリングについて、下記製品を軸に解説していきます。どの章からでも読み始められる構成になっています。
機械洗浄の日常モニタリング
1. 洗浄インジケータ(WD)
2. 洗浄インジケータ(超音波洗浄装置)
高圧蒸気滅菌の日常モニタリング
3. ボウィー・ディックテスト
4. 包装内CI
5. BI
6. PCD
過酸化水素ガス滅菌の日常モニタリング
7. 過酸化水素ガス滅菌用タイプ4CI
1. 洗浄インジケータ(WD)
1-1. 洗浄なくして滅菌なし
滅菌工程での菌の殺滅は、適切な洗浄があって初めて成立します。医療器材の再生処理において、洗浄工程は非常に重要なプロセスです。
洗浄工程が重要な理由の一つに、バイオバーデンの問題があります。
国際規格ISO17665には、高圧蒸気滅菌における滅菌温度に対する保持時間の条件が示されています。この蒸気滅菌条件は、10⁶個の菌を滅菌することを前提としています。例えば、10⁶個の菌を滅菌するためには、121℃の蒸気の場合、15分必要ということを意味しています。
蒸気滅菌条件(ISO17665)
| 滅菌温度 | 保持時間 |
| 121℃ | 15分 |
| 126℃ | 10分 |
| 132℃ | 4分 |
| 134℃ | 3分 |
洗浄が適切に行われた場合は、バイオバーデン(滅菌が開始される時点での菌数)が10⁶個を下回るため、15分の滅菌で余裕をもってSAL≦10⁻⁶を達成することができます。一方で、洗浄が不十分だった場合、バイオバーデンが10⁶個を上回ってしまい、15分で滅菌してもSALに到達しない=滅菌不良となってしまう可能性があります。
また、そもそも汚染物が付着した器材表面には、蒸気は曝露せず滅菌することができません。滅菌されたとしても、パイロジェンなどの発熱物質が残ってしまうことが問題です。

1-2. 洗浄工程の品質保証は「バリデーション×日常モニタリング」で考える
洗浄工程の品質は、バリデーションと日常モニタリングで保証します。バリデーションにより、最も洗浄が難しい器材(マスター製品)が適切に洗浄できる(残留蛋白質量<6.4μg/cm²)プログラムであることを検証します。そして、その検証された工程が毎回確実に実行されているかを日常モニタリングします。
この日常モニタリングに使用するのが、洗浄インジケータです。

1-3. ガイドラインや施設評価ツールにおいても洗浄インジケータの使用が言及されている
洗浄インジケータの使用については、医療現場における滅菌保証のガイドライン2026や医療現場における滅菌保証のための施設評価ツールVer.1.1においても言及されています。
特に、施設評価ツールでは、早急に改善すべき「必須項目」として記載されています。

1-4. ウォッシャー・ディスインフェクター(WD)では検知できないエラーもある
日常モニタリングで洗浄インジケータを使用する一番の理由は、WDでは検知できないエラーが存在するためです。
WDを使用した機械洗浄の洗浄力は、シナー・サークルと呼ばれる4つの重要項目で構成されます。
・機械作用(水流)
・時間
・温度
・化学作用(洗剤)
これらの重要項目に関連した洗浄時に起こり得るエラーは、下記のようなものがあります。
| 項目 | 起こり得るエラー | WDによる検知* | インジケータによる 検知 |
| 水流 | 過積載により水流が当たらない | × | 〇 |
| 時間 | 誤ったプログラムの選択により必要な時間洗浄できていない | × | 〇 |
| 温度 | 誤ったプログラムの選択により、必要な温度に達しない | × | 〇 |
| 洗剤 | 搬送または保管中に洗剤の酵素が失活し洗浄力が低下 | × | 〇 |
*一例であり、機種によって異なる
ポイントは、これらのエラーはWDでは検知できないことがあるという点です。仮に誤ったプログラムを選択してしまったとしても、WDはオーダーされたプログラムでエラーを出すことなく、指示通りに稼働します。
ヒューマンエラーを含めた様々なエラーを確実に検知するために、インジケータを用いた日常モニタリングは非常に重要です。
1-5. WD/プログラムの洗浄力に最も近い抵抗性をもつインジケータを選ぶ
洗浄インジケータを選択する際には、ポイントがあります。それは、「WD/プログラムの洗浄力に最も近い抵抗性をもつインジケータを選択すること」です。
洗浄力は、使用する洗浄器や洗剤、プログラムによって異なります。インジケータの役割は、本来発揮すべき洗浄力が何らかの不具合で低下した時に、確実に検知することです。WD/プログラムの洗浄力により近い抵抗性をもったインジケータを使用することで、わずかな不具合を検知することができます。
例えば、下の図のWD①の場合、黄色の抵抗性のインジケータで日常モニタリングを実施すると、洗浄力が大幅に(黄色矢印分)低下した時しか異常を検知することができません。
一方で、洗浄力に近い赤色のインジケータでモニタリングすれば、洗浄力がわずかに(赤色矢印分)低下した時点で、異常が発生していることを検知できます。WD①の場合、赤色のインジケータが最適ということになります。

1-6. 本洗浄工程が終了するギリギリのタイミングで色落ちするインジケータを選択する
WD/プログラムの洗浄力に最も近い抵抗性を持つ洗浄インジケータを選択するためには、洗浄工程のどのタイミングでインジケータが色落ちするかを検証します。
WDの洗浄工程において洗浄作用が最も高くなるのは、洗剤が投入され、温度が設定値まで上がった水流を設定された時間あて続けた「本洗浄工程の終了時」です(下記グラフのD点)。

洗浄作用がもっとも高い「本洗浄が終了するギリギリのタイミング」で色落ちする洗浄インジケータを選定することで、WD/プログラムの洗浄力に近い抵抗性を持つ洗浄インジケータを選択することができます。
一方で、洗剤が投入される前に色落ちしてしまうインジケータは、洗剤関連の不具合を見落とす可能性があります。

1-7. SALWAYの洗浄工程インジケータは5種から「選択」する
SALWAYの洗浄工程インジケータは、業界唯一*の選択式インジケータです。5種の異なる抵抗性のインジケータから、WD/プログラムに適したインジケータを選択します。
「洗浄器」「洗剤」「プログラム」「水質」など、洗浄に関する要因の組み合わせは施設によって異なります。WDの洗浄力に最も近い抵抗性をもつインジケータを選択することで、日常のわずかな不具合を検知します。
*自社調べ(2026年10月時点)

製品ページ:SALWAY 洗浄工程インジケータ
1-8. 同じWDでも、洗剤やプログラムによって最適なインジケータは異なる
たとえ同じWDを使用していたとしても、洗剤やプログラムが異なれば、最適なインジケータは異なることがあります。こちらは、実際の医療機関で実施した洗浄工程インジケータの選定試験の結果です。

同じWDでも、弱アルカリ酵素洗剤を使用するプログラムでは黄色、アルカリ洗剤を使用するプログラムでは紫色のインジケータが最適という結果でした。
プログラムが複数ある場合は、それぞれのプログラムでインジケータの選定試験を実施しましょう。
1-9. 洗浄工程インジケータにより洗剤供給チューブの詰まりを検知
こちらは、日常モニタリングに洗浄工程インジケータを使用する重要性がわかる事例です。
この医療機関では、もともとインジケータを使用していませんでした。アルカリ洗剤プログラムを使用しており、X月6日のインジケータ選定試験の結果、紫色のインジケータを選択しました。そこからわずか2週間以内に、インジケータが全く変色しないという事象が発生しました。
洗浄器メーカーに依頼し調査してみると、アルカリ洗剤を供給するチューブが詰まっていたことが発覚。インジケータを使用していなければ、洗剤が供給されていない状態で洗浄した器材を、滅菌して払い出すところでした。
このように、洗浄工程の不具合はいつ発生するかわかりません。洗浄工程インジケータを用いた日常モニタリングは、毎回実施することが望ましいです。

1-10. 器材内部の洗浄工程の評価にはフローPCDを使用する
内腔洗浄ポートに接続してインジケータを設置できる「フローPCD」を使用することで、チューブなどの内腔器材の洗浄工程を確認することができます。

内腔器材の内部まで洗浄できているかは、バスケットに設置されたインジケータでは確認することができません。専用のフローPCDを使用して、きちんとモニタリングすることが大切です。
フローPCDは、WDの洗浄ポートや減圧沸騰式洗浄器などで使用することができます。

製品ページ:SALWAY 内腔洗浄フローPCD
FAQ-1. 酵素洗剤とアルカリ洗剤で、1種類の洗浄インジケータを共通運用することは可能か?
例えば、酵素洗剤のプログラムで黄色、アルカリ洗剤のプログラムで黄色・緑色が色落ちした場合、共通で黄色を使用することは可能です。しかし、洗浄作用の強いアルカリ洗剤のプログラムにおいて、インジケータでモニターできる範囲が狭くなることに注意が必要です。

FAQ-2. 洗浄インジケータはどのくらいの頻度で使用すればよいか?
エラーはいつ発生するか予測できないため、「毎回」使用することが望ましいです。使用頻度が少ないほど、不合格時の回収(リコール)すべき範囲が広くなってしまう点に注意が必要です。

2. 洗浄インジケータ(超音波洗浄装置)
2-1. 超音波洗浄装置の洗浄力は「超音波×時間×温度×洗剤」で構成される
超音波洗浄は、超音波振動子が発する超音波が器材の表面でキャビテーションを起こすことで洗浄効果を示す洗浄方法です。
超音波洗浄の洗浄力は、超音波・洗剤・温度・時間の掛け合わせで構成されます。そのため、洗浄器や使用する洗剤によって、洗浄力は異なります。

2-2. アルミ箔を用いた確認方法では、超音波の有無しか確認することができない
超音波洗浄のモニタリングとして、アルミホイルやガラスビーズなどを洗浄器内に設置し、洗浄後に穿孔やシワの分布、ガラスビーズの入った液体の変色を観察する方法があります。
しかし、これはキャビテーションエネルギーの検出(超音波)を確認するものであって、洗剤の有無については確認することができません。
附属書 6A 簡易的なキャビテーションエネルギーの検出方法
超音波を発振している洗浄液の中にアルミホイルを浸すと、キャビテーションエネルギーにより単独または連続する微細な穴が開きシワを形成する。この状態を観察することで超音波発振により発生したキャビテーションエネルギーの付与を確認することができる。
~中略~
なお、これらのテストは超音波洗浄器の洗浄能力の一つであるキャビテーションエネルギーの検出を確認するものであって、洗浄性能を評価するものではない。
医療現場における滅菌保証のガイドライン2026 (p86) より引用
2-3. SALWAYの超音波洗浄工程インジケータは4種から「選択」する

SALWAYの超音波洗浄工程インジケータは、それぞれの洗浄器やプログラムの洗浄力に最も近い抵抗性を持つインジケータを、4種から選択します。本来発揮すべき洗浄力に近いインジケータを使用することで、わずかな不具合を検知することができます。

製品ページ:SALWAY 超音波洗浄工程インジケータ
2-4. 超音波だけでなく洗剤関連のモニタリングも可能
SALWAYの超音波洗浄工程インジケータを用いて、意図的に条件を悪くする不合格試験を実施することで、超音波のみでなく、洗剤関連の不具合も検知することができます。
まず、超音波・洗剤ともに正常な条件(①合格試験)で洗浄し、インジケータ4色の色落ちを確認します。その後、洗剤は入っているが超音波が出ていない条件(②不合格試験)、超音波は出ているが洗剤が入っていない条件(③不合格試験)で洗浄し、インジケータの色落ちを確認します。
合格試験では色落ちするが、不合格試験では色落ちが不完全なインジケータを選択することで、超音波・洗剤関連の不具合が発生した時に検知することができます。
下記事例の場合、青のインジケータが最適なインジケータとなります。
超音波洗浄工程インジケータの選定試験

参考記事:【選定試験】超音波洗浄工程インジケータの選び方をご紹介します。
3. ボウィー・ディックテスト
3-1. 毎日の始業時に、滅菌器の空気除去性能を確認するテスト
ボウィー・ディックテストは、朝の暖機運転後に実施する、滅菌器の空気除去性能を確認するテストです。空の滅菌器内のコールドスポットにボウィー・ディックテストを置き、中のインジケータに134℃の蒸気が3.5分曝露しているかを確認します。
その日の滅菌器がきちんと稼働するかを確認する、とても重要な手順です。
ボウィー・ディックテスト原法(6.6kgコットンパック)

参考記事:ボウィー・ディックテストとは?ガイドラインの記載内容や実施方法、市販品の選び方について解説します。
3-2. 滅菌器内や蒸気配管内に空気が残存している場合に不合格を示すことが重要
ボウィー・ディックテストが不合格を示した場合には、以下のような不具合が想定されます。
・扉パッキンの劣化
・真空ポンプ性能の低下
・蒸気配管からの空気漏れ など
これらの不具合が発生している状態だと、下図の赤線のようになる可能性があります。本来求められる水準である134℃ 3.5分が達成されず、そのまま滅菌器を稼働させたとしても医療器材を適切に滅菌出来ない可能性があるということです。
つまり、ボウィー・ディックテストの本質は、滅菌器や蒸気配管内に空気除去や蒸気浸透に関する不具合があった際に確実に検知することです。簡単に合格するのではなく、滅菌器になんらかの不具合が発生している際にきちんと不合格を示すことが求められます。

3-3. SALWAYのボウィー・ディックテストは高い検知力でわずかな不具合も検知
SALWAYのボウィー・ディックテストは、EN ISO11140-4(7kgコットンテストパック)に適合し、高い不具合検知力を有します。本体はリユースで8,000回以上使用でき、インジケータがコンパクト(63×6mm)でゴミも少なく、記録台帳や在庫がかさばりません。

製品ページ:SALWAY ボウィー・ディックテスト
3-4. SALWAYのボウィー・ディックテストのみが真空パルス2回で不合格を示した
ある医療機関が、規格品(コットンパック原法)と市販の各社製品を比較検証した結果が下記の表です。
ボウィー・ディックテストの検知力を検証する方法として、真空引き(空気除去)をわざと甘くして、滅菌条件を悪くする方法があります。空気除去が甘かった際に、ボウィー・ディックテストがきちんと不合格を示すかを確認する試験です。
SALWAYのボウィー・ディックテストは、欧州規格に適合しており検知力が高いため、真空パルスを2回にした際にきちんと不合格を示したことが確認されています。

4. 包装内CI
4-1. 包装内CIは、器材表面への蒸気曝露をモニタリングする
包装内CIは、滅菌バッグやコンテナに同梱し、器材表面への蒸気曝露をモニタリングするインジケータです。
包装内CIは、それが置かれた場所の情報しか得ることができません。インジケータを器材の内部に挿入することはできないため、器材内部までの蒸気浸透を確認するには、後述するPCDにインジケータを挿入する必要があります。

4-2. 包装内CIには、タイプ4、タイプ5、タイプ6の3種類がある
包装内CIは、国際規格ISO11140-1によって、下記に示す3つのタイプに分類されています。どのタイプを選択するかは、検証できる重要プロセス変数とコストのバランスを考慮することが重要です。
ISO11140-1による化学的インジケータのタイプ分類
| 分類 | 名称 | 用途・特徴 |
| タイプ4 | マルチバリアブル・インジケータ | 2つ以上の重要プロセス変数に反応する |
| タイプ5 | インテグレーティング・インジケータ | すべての重要プロセス変数に反応する。指標菌のD値と関連した反応をする |
| タイプ6 | エミュレーティング・インジケータ | すべての重要プロセス変数に反応する。合格条件と不合格条件の条件幅が最も狭く、指定された滅菌条件(SV)を最も精度高く検知する |
4-3. タイプ5CIは、すべての重要プロセス変数に反応する
タイプ5CIは、蒸気滅菌におけるすべての重要プロセス変数(温度・時間・飽和蒸気)に反応します。一方のタイプ4CIは、国際規格において、2つ以上の重要プロセス変数に反応するように求められています。
タイプ4CIの中には、飽和蒸気に反応しないものも存在するので、そのインジケータがどの変数に反応するのか、確認した上で使用する必要があります。飽和蒸気に反応しないものは、極端に言えば乾熱でも変色してしまう可能性があるということになります。

4-4. タイプ5CIは指標菌(BI)の死滅に相関する
またタイプ5CIは、国際規格において、指標菌(BI)の死滅に相関することが要求されています。つまり、タイプ5CIが合格すれば、BIは必ず合格するという事です。
下記グラフの例の場合、タイプ5CIは134℃の蒸気が2.55分以上曝露すると合格を示し始めますが、BIは134℃の蒸気が1分以上曝露すれば合格を示すことがわかります。

4-5. SALWAYのタイプ5CIは、1枚10円の低コストで、裏面シールの現場に優しい仕様
SALWAYのタイプ5CIは、国際規格 EN ISO11140-1タイプ5に適合しています。3,200枚の大容量で低コスト(定価@10円)を実現。インジケータの裏面はシール状になっており、糊付けせずにそのまま貼って記録することができます。

製品ページ:SALWAY 高圧蒸気滅菌用タイプ5CI
5. BI
5-1. BIは指標菌の死滅で滅菌のモニタリングを行う
BIは、指標菌の死滅で滅菌のモニタリングを行う方法です。器材と一緒に滅菌した指標菌が死滅していれば、実際の菌も死滅していると推定する考え方です。滅菌後に菌の培養を行い、結果を判定します。

BIには指標菌の死滅を確認するタイプと、死滅を予測する短時間判定タイプがあります。BIの種類の違いについては下記の記事をご覧ください。
参考記事:【第1種滅菌技師が解説】BIの判定方法の種類とその違い
5-2. ガイドライン2026では、BIの使用頻度は「毎回」に変更された
『医療現場における滅菌保証のガイドライン2026』(p219)においては、BIの使用に関して、下記のように記載されています。
16.3 日常のモニタリングにおけるBIの使用
16.3.1 同一滅菌器で複数のプログラムを使用している場合、滅菌プログラムごとにBIを使用する。
16.3.2 滅菌法に関わらず、各滅菌プロセス用に開発されたBIを毎回使用し、BIの判定結果を確認してから滅菌物の払い出しをおこなう。医療現場における滅菌保証のガイドライン2026 (p219) より引用
『医療現場における滅菌保証のガイドライン2021』においては「BIを毎日、好ましくは毎回使用」と記載されていたため、日常モニタリングにおけるBIの使用頻度に関する記載が変更されたことがわかります。
5-3. 実践可能性や医療経済性を考慮してBIの使用頻度を含めた品質保証体制を構築するとも記載
一方で、ガイドライン2026においては、日常のモニタリングにおけるBIの使用に関して、解説文に以下のようにも記載されています。
関連の国内外のガイドラインや推奨業務や実践可能性、医療経済性を考慮し、医療機関では各滅菌法におけるBIの使用頻度を含めた滅菌物の品質保証体制を構築する。その際には、医療機関におけるリコールリスク、およびトレーサビリティを考慮する。
医療現場における滅菌保証のガイドライン2026 (p219) より引用
日常モニタリングにBIを毎回使用すると、大規模病院では数百万円のコスト増になることもあります。病院の約7割が赤字経営とも言われており、「追加の予算を獲得するのは難しい」「病院の理解が得られない」といった声も聞きます。
そういった背景もあり、実践可能性や医療経済性を考慮してBIの使用頻度を含めた滅菌物の品質保証体制を構築する、と記載されたのではと推測されます(弊社理解)。
5-4. ANSI/AAMI ST79では、BIの使用頻度は「少なくとも週1回、望ましくは毎日」と記載
関連の国内外のガイドラインを考慮すると記載されていますが、関連する海外のガイドラインとしてANSI/AAMI ST79:2017/(R)2022(医療施設における高圧蒸気滅菌および滅菌保証に関する包括的なガイドライン)があります。
ANSI/AAMI ST79には、BIを「少なくとも週1回、望ましくは毎日」使用し、インプラント器材を含む場合は「毎回」使用すると記載されています。
13.5.3.2 Using biological indicators
Biological indicators should be used within PCDs (see 13.5.4, 13.7.2.1, 13.7.3.1, and 13.7.4.1) for routine sterilizer efficacy monitoring at least weekly, but preferably every day that the sterilizer is in use (see 13.7). Biological indicators within a PCD may be used as part of the criteria for release of loads. Additionally, BIs with Type 5 integrating indicators within PCDs should be used to monitor every load containing implants; implants should be quarantined until the results of the BI testing are available. (CDC, 2008).
If a PCD containing only a BI is used to release a load, the load should be quarantined until the result of the BI is known.
ANSI/AAMI ST79:2017/(R)2022 (p80) より引用
5-5. 施設評価ツールでも、BIの使用頻度は1日1回でも毎回でも獲得できる点数は変わらない
医療現場における滅菌保証のための施設評価ツール(P5)においては、BIの使用に関して、下記のように記載されています。
27. 蒸気滅菌用に開発された生物学的インジケータを少なくとも1日1回以上、もしくは毎回使用していますか?【必須】
①毎回(1点)
②1日1回以上(1点)
③1日1回未満(0点)
④パラメトリックリリース(除外)医療現場における滅菌保証のための施設評価ツールVer.1.1 (p5) より引用
BIの使用頻度が1日1回であれ、毎回であれ、獲得できる点数は変わらないことがわかります。
5-6. 重要なのはBIを毎回使用することではなく、根拠を持った払い出しを行うこと
大切なのはBIを毎回使用することではなく、滅菌した器材がSAL≦10⁻⁶を達成しているという根拠をもって払い出しを行うことです。具体的には、滅菌物よりも滅菌抵抗性の高い(滅菌が難しい)ことが確認されたPCDに挿入したインジケータの判定結果をもって、毎回の払い出しを行います。
詳しくは、6章でお話しします。
6. PCD
6-1. PCDとは、意図的に蒸気浸透性を悪くする抵抗性を持ったデバイス
PCD(Process Challenge Device)は、意図的に蒸気浸透性を悪くする抵抗性を持ったデバイスです。PCDは、BIやCIなどのインジケータではなく、それらをいれる入れ物を指します。
なぜPCDを使用する必要があるのでしょうか?
ラパロ鉗子などの内腔器材は、外側より内側の方が蒸気が浸透しづらく、滅菌が困難です。一方で、BIやCIなどのインジケータは、それが置かれた場所の情報しか得ることができません。つまり、器材内部までの滅菌条件を確認するためには、本来はインジケータを器材内部に入れなくてはいけません。
しかし、物理的にBIやCIを器材内部に挿入することはできません。そのため、器材内部のように滅菌がしづらい環境を疑似的に再現するPCDが必要となるわけです。

6-2. PCDがマスター製品と同等以上の滅菌抵抗性を持つという妥当性を確認することが求められる
PCDに求められる要件に関して、国際規格ISO17665:2024(ヘルスケア製品の滅菌-湿熱-医療機器の滅菌プロセスの開発、バリデーション及び日常管理の要求事項)では、PCDがマスター製品と同等以上の滅菌抵抗性を持つ妥当性を確認することが求められると記載されています。
A.9.6.2 Additional information and PQ tests for saturated steam sterilization processes
c) If a reference or model load is used instead of a production load its validity as an equivalent or greater challenge to the sterilization process should be established. If a PCD is used to provide a defined resistance for specific aspects of the load its validity as an equivalent or greater challenge than the load, including its SBS, should be established. If the SBS of the load is subsequently changed this can change the relationship between the challenge represented by the PCD and that of the newly packaged load and can represent a different product family.
ISO17665:2024(p51-52)より引用
6-3. マスター製品よりも滅菌抵抗性が低いPCDでは、根拠を持った出荷判定ができない
ではなぜ、PCDがマスター製品と同等以上の滅菌抵抗性を持つ妥当性を確認する必要があるのでしょうか?
被滅菌物の中で最も滅菌が難しいマスター製品よりも滅菌抵抗性が高いPCDを使用していれば、PCDが合格であればそれよりも易しい他の滅菌物は滅菌できていると推定することができます。
逆に、マスター製品よりも滅菌抵抗性が低いPCDが合格していたとしても、マスター製品が滅菌できているかはわからず、根拠を持った出荷判定ができません。

6-4. ワーストケースの考え方で出荷判定をする
PCDを出荷判定に使用する考え方の前提には、すべての器材の滅菌可否を確認することはできないという事実があります。滅菌したすべての器材を確認する時間もありませんし、そもそも包装材を開封してしまった時点で、その器材の無菌性は破綻してしまいます。
そこで、滅菌器のもっとも滅菌しづらい場所(コールドスポット)で、マスター製品よりも滅菌しづらいPCDに挿入したインジケータが合格していれば、全ての器材は滅菌できていると推定します。これが、PCDを出荷判定に使用するワーストケースの考え方です。

6-5. PCDにはポーラス型とホローロード型がある
PCDには、積層構造で滅菌抵抗性を持たせるポーラス型と、内腔構造で滅菌抵抗性を持たせるホローロード型があります。では、どちらのPCDを使用するべきなのでしょうか?

6-6. 内腔器材の滅菌保証にはホローロード型を選択する
ラパロ鉗子や気腹チューブなど、内腔器材を滅菌するのであれば、ホローロード型のPCDを選択するべきです。その理由はシンプルで、ホローロード型のPCDは、内腔器材よりも滅菌抵抗性が高いからです(弊社試験結果)。
下記は、SALWAY(株式会社名優)が行った自社試験の結果です。SALWAYのコンパクトPCD(ホローロード型)と米国規格AAMIのテストパック原法(ポーラス型)、そして気腹チューブやラパロ鉗子を模した内腔器材の滅菌抵抗性を比較しました。
真空パルスの回数と真空引きの深さを調整し、あえて滅菌条件を悪くした時に、各PCDや器材に挿入したインジケータが不合格を示すかを検証しました。

この比較試験の結果、SALWAYのホローロード型のコンパクトPCDは、ラパロ鉗子や気腹チューブよりも滅菌抵抗性が高いことが確認されました。
つまり、これらの内腔器材を滅菌しているのであれば、その器材よりも滅菌抵抗性の高いホローロード型のPCDを、日常の出荷判定に使用する必要があるということです。
6-7. SALWAYのコンパクトPCDは器材内部レベルでの滅菌条件達成を確認する

SALWAYのコンパクトPCDは、EN ISO11140-6 Hollow load PCDに適合した、複雑な器材内部レベルでの滅菌条件達成を確認できるPCDです。PCDの内部構造はとても複雑で、ラパロ鉗子などの内腔器材よりも滅菌抵抗性が高く設計されています。
コンパクトPCDの内部構造

製品ページ:SALWAY コンパクトPCD
コンパクトPCDとマスター製品の滅菌抵抗性に関する2つの検証試験の結果を、6-8・6-9でご紹介します。
6-8. コンパクトPCDは重量11.3kgのコンテナ内の疑似ラパロ鉗子よりも滅菌抵抗性が高い
本試験では、マスター製品とコンパクトPCDの滅菌抵抗性を比較するために、DIN58921を参考に真空パルス回数および真空到達圧を調整しました。
真空パルス回数を3回→2回→1回に変更した時の、CIおよびBIの結果がこちらです。
真空パルスを3回から2回に減らした時に、コンパクトPCD内のCIは不合格を示し、疑似ラパロ鉗子内のCIは合格を示しました。CIの結果においては、コンパクトPCDの方がコンテナ内の疑似ラパロ鉗子よりも滅菌抵抗性が高いことを示唆しています。

一方のBIでは、真空パルス2回では結果に差がでませんでした。そのため、真空パルス2回で真空到達圧を調整する追加の試験を実施しました。
真空パルス2回で真空到達圧を-0.070MPa → -0.060MPa → -0.050MPaに変更した時のBIの結果がこちらです。

真空到達圧を-0.070MPaから-0.060MPaに変更した時、コンパクトPCD内のBIは陽性を示し、疑似ラパロ鉗子内のBIは陰性を示しました。BIの結果においても、コンパクトPCDの方がコンテナ内の疑似ラパロ鉗子よりも滅菌抵抗性が高いことが示唆されました。

参考記事:マスター製品と出荷判定用テストパック(PCD)の滅菌抵抗性を比較するには?実際の検証試験の流れを解説します。
6-9. コンパクトPCDは主要なマスター製品よりも昇温が遅い
本試験では、全国69施設から合計231個ものマスター製品候補を集め、その中でも滅菌が難しそうな6つのマスター製品候補を①空気排除の抵抗性、②器材の材質、③包装形態、④重量の観点から選定し、検証を行いました。
・ギネラパロセット
・VATS鉗子セット
・基本器械セット
・脳外セット
・心外基本セット
・下垂体セット
それぞれのマスター製品の内部とコンパクトPCDにデータロガーを設置し、滅菌温度である134℃に到達した時間差(昇温遅れ)を比較した結果がこちらです。

コンパクトPCDは、滅菌器庫内より134℃に到達する時間が18秒遅れました。他のマスター製品の昇温遅れは平均7秒、最大16秒であり、コンパクトPCDが主要なマスター製品よりも昇温が遅いことが示唆されました。

参考記事:みんなあつまれ!マスター製品コンテスト ~検証から導く キャリブレーションとPCDの「最適解」~
6-10. コンパクトPCDを使用することで、高いレベルの滅菌保証を低コストで実現可能
SALWAYのコンパクトPCDは、1回あたり定価180円で器材内部までの蒸気浸透を確認することが可能です。滅菌器を回すごとに使用するPCDおよびインジケータの消耗品費は、決して小さくないコストです。
BIを毎回使用した場合と、コンパクトPCDを毎回かつインプラント器材の滅菌時にBIを使用した場合のコストシミュレーションの一例です。SALWAYのコンパクトPCDを使用することで、大幅にコストを抑えながら、高いレベルの滅菌保証を実現することができます。

FAQ-1. コンパクトPCDが合格しなくなった。簡単に合格するPCDに変更するべきか?
これまで合格していたPCDが合格しなくなったのは、何らかの理由で滅菌器の蒸気浸透性能が落ちている可能性があります。簡単に合格するPCDに替えてしまえば、マスター製品の滅菌不良を見逃してしまう可能性があるため、PCDが再び合格するように、滅菌器の蒸気浸透性能を改善しましょう。

参考記事:PCD(日常の出荷判定用テストパック)が不合格になったら?その要因や対処法を解説します。
FAQ-2. 滅菌器の蒸気浸透性能を改善するには、何をしたらよいか?
滅菌器の蒸気浸透性能は、真空パルスの回数を増やす/真空到達圧を深くすることで改善できます。下記は、滅菌器の蒸気浸透性能を可視化する13本テストを使用した検証試験の結果です。真空パルス回数を増加/真空到達圧を深くした時に、蒸気浸透性能が改善していることがわかります。

参考記事:PCD(日常の出荷判定用テストパック)が不合格になったら?その要因や対処法を解説します。
FAQ-3. プリオンサイクル (134℃ 18分) の滅菌保証はどうしたらよいか?
プリオンは病原菌ではなくタンパク質です。従って、滅菌剤に最も耐性のある菌を使用したBIではなくプリオンサイクル専用のCIを用いて、134℃18分の滅菌条件の達成を確認する必要があります。SALWAYのコンパクトPCDには、プリオンサイクル用のCI (SV値:134℃18分) もあり、器材内部レベルでのプリオンタンパク質の不活性化条件の達成を確認することができます。

参考記事:プリオン病とは?ガイドラインを基にハイリスク器材の適切な再生処理(洗浄・滅菌)について解説します。
7. 過酸化水素ガス滅菌用タイプ4CI
7-1. 減圧と過酸化水素の注入を繰り返して滅菌する
過酸化水素ガス滅菌器では、まずはコンディショニングで減圧を行い、チャンバー内および器材の空気や湿気を除去します。その後、滅菌剤である過酸化水素をガス化できる圧力まで減圧し、過酸化水素を注入してチャンバー内に拡散し滅菌します。この滅菌工程を複数回繰り返し、最後にエアレーションをしてチャンバー内および器材の過酸化水素ガスを取り除きます。
過酸化水素ガス滅菌の代表的な滅菌サイクルの例

出典:医療現場における滅菌保証のガイドライン2026(p161)
7-2. 過酸化水素ガス滅菌のプログラムは、ハーフサイクル法によるバリデーションで設定される
過酸化水素ガス滅菌のプログラムは、ハーフサイクル法を用いたバリデーションによって設定されています。
ハーフサイクル法では、実際の滅菌時間の半分の時間でBIの死滅を確認することで、実際の滅菌時間で滅菌した時に滅菌条件(SAL≦10⁻⁶)を達成するように工程を設計します。
半分の時間でBIが陰性(菌数が0)であれば、この時点で10⁰未満(6D以上)であるため、その倍の滅菌時間に設定すれば、10⁻⁶以下(12D以上)を達成できると考えます。

7-3. 器材の形状や素材にあわせて複数のプログラムが設定されている
一般的に過酸化水素ガス滅菌器では、表面形状や簡単な構造のみを有する器材を短時間で処理するプログラムや、内腔構造や複雑な形状を有する器材へ滅菌剤を浸透させることを目的としたプログラムなど、複数のプログラムが設定されています。
プログラムによって、過酸化水素ガス滅菌の重要プロセス変数(ガス濃度・温度・時間)はそれぞれ異なります。

7-4. 過酸化水素ガス滅菌用タイプ4CIとは
過酸化水素ガス滅菌用タイプ4CIとは、過酸化水素ガス滅菌に使用する包装内部用のCI(ケミカルインジケータ)です。滅菌バッグやラップ材で包装した器材セット、滅菌コンテナの内部に入れて使用します。
タイプ4CIは、マルチバリアブル・インジケータとも呼ばれており、滅菌工程の重要プロセス変数の2つ以上に反応し、一定の曝露条件に曝されると変色します。
過酸化水素ガス滅菌用タイプ4CIの変色例

7-5. 過酸化水素ガス滅菌用の包装内部用CIにはタイプ4しかない
包装内部用CIには、タイプ4、タイプ5、タイプ6の3種類があります。
タイプ4CIは、2つ以上の重要プロセス変数に反応します。タイプ5CIは、すべての重要プロセス変数に反応して、指標菌のD値と関連した反応(BIの死滅とCIの合格が相関)を示します。タイプ6CIも、すべての重要プロセス変数に反応し、指定された滅菌条件を最も精度高く検知します。
ISO 11140-1(Sterilization of health care products — Chemical indicators)において、高圧蒸気滅菌やEOG滅菌用の包装内部用CIには、タイプ4、タイプ5、タイプ6の全てが存在しますが、過酸化水素ガス滅菌用についてはタイプ4CIしか存在しない点に注意が必要です。
包装内部用CIのタイプ分類
| 分類 | 名称 | 特徴 |
| タイプ4 | マルチバリアブル・インジケータ | 2つ以上の重要プロセス変数に反応する。 |
| タイプ5 | インテグレーティング・インジケータ | すべての重要プロセス変数に反応する。指標菌のD値と関連した反応をする。 |
| タイプ6 | エミュレーティング・インジケータ | すべての重要プロセス変数に反応する。合格条件と不合格条件の条件幅が最も狭く、指定された滅菌条件を最も精度高く検知する。 |
ISO 11140-1において規定される各滅菌法のタイプ分類
| 滅菌工程 | 重要プロセス変数 | タイプ4 | タイプ5 | タイプ6 |
| 蒸気滅菌 | 温度、時間、湿熱 | 〇 | 〇 | 〇 |
| EO滅菌 | ガス濃度、温度、相対湿度、時間 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 過酸化水素ガス滅菌 | ガス濃度、温度、時間 | 〇 | – | – |
| 低温蒸気ホルムアルデヒド滅菌 | ガス濃度、温度、時間 | 〇 | – | – |
7-6. それぞれのプログラムの滅菌工程のなるべく終盤で変色するCIが望ましい
「滅菌時間が短いプログラムで変色するCIで、滅菌時間が長いプログラムもモニターすることができるのか?」という疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。プログラムによって過酸化水素ガス滅菌の重要プロセス変数が異なる場合、どのようなCIが望ましいのでしょうか?
過酸化水素ガス滅菌用のタイプ4CIは、バリデーションされたプログラムが正しく繰り返されたかをモニターするために使用します。滅菌プログラムが開始されてすぐに変色してしまっていれば、それ以降の工程がどうであったかをモニターすることはできません。
つまり、それぞれのプログラムにおいて「滅菌工程のできるだけ終盤で変色するもの」が、最適な過酸化水素ガス滅菌用のタイプ4CIであると定義することが出来ます(下図であればインジケータB)。

7-7. SALWAYのタイプ4CIは、4つのSV値からプログラムに合った最適なインジケータを選択できる

SALWAYの過酸化水素ガス滅菌用タイプ4CIは、業界で唯一*、4つのSV値から滅菌器/プログラムに合った最適なインジケータを選択することが可能です。SV6~SV9の設定があり、数字が大きくなるほどSV値が高く(変色が難しく)設定されています。
裏面がシール状になっており、台帳などにそのまま貼り付けることができる現場に優しい仕様でもあります。
*自社調べ(2026年10月時点)
| 製品番号 | インジケータの変色 | SV値 |
| GKE214-251-ENS(SV6) | 赤 → 黄 | 50℃, 2.6mg/L, 2分 |
| GKE214-241-ENS(SV7) | 青 → 緑 | 50℃, 2.6mg/L, 8分 |
| GKE214-261-ENS(SV8) | 赤 → 橙 | 50℃, 2.6mg/L, 15分 |
| GKE214-221-ENS(SV9) | 青 → 緑 | 50℃, 3.8mg/L, 20分 |
7-8. ハーフサイクルで不合格、フルサイクルで合格するSV値を選択可能
滅菌工程中のCIの変色挙動を確認するために、滅菌工程の半分で滅菌を中止するハーフサイクルと最後まで滅菌するフルサイクルを実施し、CIの変色を検証する試験を行いました。
下記3プログラムに対して、それぞれハーフサイクル/フルサイクルを実施し、CIの変色結果を記録しました。
・高速ノンルーメン(16分)
・フレキシブル(35分)
・ルーメン(52分)
滅菌工程の途中であるハーフサイクルでは不合格を示し、フルサイクルでは合格を示すCIを最適なものと定義しました。CIの変色結果はこちらです。

高速ノンルーメン・フレキシブルプログラムにおいては、SV7とSV8がハーフサイクルでは不合格、フルサイクルでは合格を示しました。ルーメンプログラムにおいては、SV7、SV8、SV9がハーフサイクルで不合格、フルサイクルで合格を示しました。
SV6では、すべてのプログラムにおいてハーフサイクル時点で合格を示してしまい、プログラムの後半をモニターすることができませんでした。
本検証では、高速ノンルーメンとフレキシブルではSV8、ルーメンではSV9を最適なCIとして選定しました。
参考記事:【検証試験】適切な過酸化水素ガス滅菌用タイプ4CIの選択
7-9. 全プログラムで共通のCIを選択することも可能
実際の運用では、プログラム毎にCIを使い分けることで運用が煩雑になることもあります。
今回の例であれば、SV8を選択することで、1種類のCIで全プログラムをモニターすることも可能です。しかし、ルーメンサイクルにおいては、SV9の方がより広い範囲をモニターできる(CIが完全変色するタイミングが遅い)ことに留意する必要があります。

参考記事:【検証試験】適切な過酸化水素ガス滅菌用タイプ4CIの選択
洗浄工程インジケータやボウィー・ディックテスト、包装内CI、コンパクトPCD、過酸化水素ガス滅菌用タイプ4CIに関するお問合せや各種ご依頼(お見積/サンプルなど)は、営業担当またはSALWAYウェブサイトのお問合せフォームよりご連絡下さい。







